研究実績の概要 |
1)アンジオテンシンII DNAワクチンの長期的な安全性・有効性の評価 アンジオテンシンII DNAワクチンをSHRに投与し、無投与群と共に長期観察を行った。一部の個体は投与半年後に解剖し、心臓、腎臓等の組織解析を行った。その結果、ワクチン群で血中アンジオテンシンII濃度の低下や、大動脈中膜肥厚の軽減傾向などが認められた。またワクチン群のHE染色で肝臓や腎臓に病理学的所見を認めなかった。これらの結果からアンジオテンシンII DNAワクチンの投与は長期的な影響として、免疫反応による有害な作用が認められないこと、降圧に伴う臓器保護効果が認められることが明らかとなった。 2)抗体価上昇のメカニズムの基礎的検討 DNAワクチンはペプチドワクチンよりも効果の持続期間が長い傾向がある。この違いを詳細に検討するため、単回投与における抗体価の強さおよび持続期間を評価した。SHRにHBc-AngII DNAワクチン0.5, 1.0, 2.0 mg/ml、あるいはAngII-KLHペプチドワクチン1.0, 5.0, 20.0 microg/mlを単回投与し、経時的に2週間ごとに採血を行い、ELISAにて抗体価を測定した。その結果両ワクチンの濃度依存性が確認でき、至適用量を決定した。またこの検討の過程で27年度に予定していた、免疫調節作用をもつ化合物の抗体価増強作用の解析を行い、著明な抗体価の上昇が得られる方法を見出した。
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