1)アンジオテンシンII DNAワクチンの長期的な安全性・有効性の評価 アンジオテンシンII DNAワクチンをSHRに投与し、無投与群と共に長期観察を行った。一部の個体は投与半年後に解剖し、心臓、腎臓等の組織解析を行った。その結果、ワクチン群で血中アンジオテンシンII濃度の低下などが認められた。またワクチン群のHE染色で肝臓や腎臓に病理学的所見を認めなかった。これらの結果からアンジオテンシンII DNAワクチンの投与は長期的な影響として、免疫反応による有害な作用が認められないこと、降圧に伴う臓器保護効果が認められることが明らかとなった。これらの結果をまとめ、Hypertension誌に論文発表を行った。 2)抗体価上昇のメカニズムの検討 DNAワクチンはペプチドワクチンよりも効果の持続期間が長い傾向がある。この違いを詳細に検討する過程で、DNAワクチンにペプチドワクチンを併用すると、著明な抗体価の上昇が得られることを見出した。さらにDNA、ペプチド併用ワクチンは、単回投与でも強い抗体価の上昇が得られることが明らかとなり、用量依存性など最適な製剤条件を検討した。 産生される抗体のIgGサブクラスを測定したところ、マウス、ラット共にIgG1が多く、すなわちTh2有意な免疫応答が起きていることが確認された。また、TLR9ノックアウトマウスと野生側マウスで、ワクチンにより産生される抗AngII抗体価を比較したところ、TLR9ノックアウトマウスの方が抗体価が低かった。このことから併用ワクチンの抗体価の増強には、DNAワクチンに含まれるCpG配列のアジュバント効果がその一部を担っていると考えられた。
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