研究課題
慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease:CKD)における高リン血症は、血管石灰化に関与することから、CKD患者における生命予後を左右する重大な因子であり、生体内リン管理は特に重要視されている。さらに、近年新しい調節因子の登場により、リン代謝研究は進歩し、新たな概念が登場した。生体内リン代謝調節に大きな関わりをもつ臓器は入り口となる腸管(感知、調節)、最終調節をする腎臓、貯蔵する骨である。それに加えリン利尿因子PTHを分泌する副甲状腺やFGF23を分泌する骨は生体内リン濃度を感知する臓器とも考えられる。腸は体内にリンを取り入れる臓器であるが、真っ先にリンを認識する臓器であるとも考えられる。そこで我々は、腸(消化管)は栄養素であるリンを取り入れる臓器であるだけでなく、食事性のリンを感知する臓器であると提唱する。最終的にはこの場でリンを感知し体内へシグナルを出す第一の感知器官であることを証明するために本研究を進めている。 平成28年度は、これまでの結果基盤としてAkp3ノックアウトマウスの腸管リン吸収機構について経細胞輸送および細胞間隙輸送メカニズムについて検討を行った。コントロールマウスと比較してAkp3ノックアウトマウスの経細胞輸送系においてリン輸送の有意な低下が認められたが、細胞間隙輸送を伴う輸送解析では変化は認められなかった。これは、代謝ケージを用いた糞中リン排泄量のデータ、血清リンデータと合致する。 NaPi-2b発現低下を伴うAkp3ノックアウトマウスは、腎臓病に対する耐性をもつことから腸管アルカリフォスファターゼは、その有無により腸管のみならず生体内全体のリン代謝に影響を及ぼすことが示唆された。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件)
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