研究課題
血圧変動性の増大が、心血管疾患の独立した危険因子であると報告されている。しかし、血圧変動性増大の病態や治療効果を解析するための疾患モデル動物についての研究報告は限定的である。代表者らは、アンジオテンシンII(Ang II)持続投与高血圧ラットが、血圧変動性増大を合併した高血圧モデル動物であることを明らかにして、同モデルの変動性増大は、高血圧非依存性に生じていることを報告した。平成28年度の研究では、本モデルにおける血圧変動性増大の機序解明と治療方法の探索を試みた。8週齢のWistarラットを対象に、無麻酔無拘束下に慢性実験テレメトリー自動計測システムを用いて、大動脈に留置したカテーテルより血圧と心拍数をモニターし、血圧の変動係数(CV)を算出した。14日間のAng II(240 pmol/kg/min)持続皮下投与群、Ang II+ロサルタン(30 mg/kg/日)、ヒドララジン(15 mg/kg/日)、またはアゼルニジピン(10または30 mg/kg/日)経口投与群、および対照群の6群を作成して比較した。Ang II持続投与群では、7日後および14日後の平均収縮期血圧(SBP)および拡張期血圧(DBP)が、対照群と比較して有意に上昇し、SBPおよびDBPの変動係数(CV)も2倍以上に増加した。Ang II+ロサルタンおよびアゼルニジピン投与群では、7日後および14日後のSBPおよびDBPが有意に低下し、SBPおよびDBP のCVの増加も抑制された。一方、Ang II+ヒドララジン投与群では、7日後および14日後のSBPおよびDBPが有意に低下したが、SBPとDBPのCV の低下は観察されなかった。以上より、Ang IIによる血圧変動性の増大は、AT1受容体依存性に生じており、長時間作用型カルシウム拮抗薬が変動性増大抑制に有用であることが明らかになった。
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