研究実績の概要 |
in silico的手法を用いて、マウスNedd4-2遺伝子の分子多様性を明らかにし、Nedd4-2 C2ドメインをコードする新規エクソンの発見に成功し、Nedd4-2 C2ドメイン特異的なKOマウスを作製し表現型を解析した。(Minegishi S,Ishigami T, et al.Scientific Reports, 2016)本研究では、代謝ケージを使った観察によって、正常食塩食下ではKOマウスと野生型マウスは、尿中ナトリウム排泄量・尿浸透圧・尿量・飲水量がすべて同等の変化を示すのに対して、高食塩食下においてKOマウスでは、食塩感受性に血圧上昇を来すとともに、尿中ナトリウム排泄・尿浸透圧の低下が先行する形で、尿量・飲水量が増加していく病態が明らかになった。さらにNedd4-2 C2 KOマウスのASDN細胞におけるα~γENaCの発現を検討した結果、食塩感受性かつ、線形性にα~γENaCの発現が増強することを明らかにしただけでなく、遺伝子発現が、amiloride投与によって正常にまで抑制されることが判明した。アミロライドを投与することで正常化するこの病態は、ENaC自身が尿細管中のナトリウムのセンサーとして働いて、細胞中のナトリウムの変化がENaC遺伝子の発現を亢進させる、未知の食塩感受性の分子メカニズムであると考えられた。こうしたこれまでの研究の概要は、平成28年度に行われた第39回日本高血圧学会シンポジウム(仙台)で、『Hypothesis Driven Approachによる食塩感受性・高血圧の成因としてのENaC-Nedd4L/Nedd4-2系の役割の検討』と題して発表した。
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