研究課題
腎臓は尿酸の体外排泄の2/3を担う重要な臓器であり、その排泄低下が高尿酸血症につながる。長らく不明であった腎臓の尿酸代謝であるが、研究代表者らの研究グループにより腎尿細管に発現する複数の尿酸トランスポーター分子(URAT1, URATv1, NPT4)同定によって明らかになりつつある。先の3分子は腎性低尿酸血症患者遺伝子解析ないし痛風・高尿酸血症に対する全ゲノム関連解析(GWAS)の結果、生理的および病態生理学的に重要と考えられ、研究代表者はヒト腎尿酸代謝の理解につながる新たな概念「3ファクターモデル(3F)」を仮説として掲げるに至った。本研究は同モデルの有用性を検証するとともに、本モデルへの適合性を基盤にした副作用としての血清尿酸値上昇を回避する創薬につなげることを目的とする。研究計画書に記載したURAT1/URATv1/NPT4の3重発現細胞の樹立に関し、前年度(平成27年度)から、連携研究者として鳥取大学生命機能研究支援センターの大林徹也氏に参画を依頼し、同氏の持つ哺乳類人工染色体ベクターを用いて複数遺伝子の導入を目指した。大林氏の協力の下、以前から研究代表者らがトランスポーター遺伝子発現に用いていたマウス腎尿細管由来細胞S2への複数遺伝子導入のcontrolとしての実験に成功した。今年度引き続き上記細胞の樹立を試みた。またNPT4阻害候補化合物のURAT1/URATv1阻害効果の確認に関し、前年度から続いてその発現プロファイルの検討を行った。研究代表者の所属機関異動により、申請段階で利用を予定していたUrat1 およびURATv1 トランスジェニック(Tg)マウスの利用が施設的に難しいため、前年度から、その代替としての利用を目指しピラジナミド投与による腎排泄低下型高尿酸血症マウスモデルの創生に成功し、今年度も生理的な状態でのモデルとしてその検討を継続した。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 3件)
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