研究課題/領域番号 |
26461259
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
河原 克雅 北里大学, 医学部, 教授 (70134525)
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研究分担者 |
安岡 有紀子 北里大学, 医学部, 助教 (50348504)
福田 英一 北里大学, 医学部, 助教 (20433716)
石井 大輔 北里大学, 医学部, 講師 (10327413)
野々口 博史 北里大学, 北里大学メディカルセンター, 副院長 (30218341)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 水・電解質代謝学 / 生理学 / 腎集合管 / ペンドリン |
研究実績の概要 |
1. 腎集合管間在細胞(α型、β型)は、酸(NH4Cl or HCl or CaPi)負荷、アルカリ(NaHCO3 or CaCO3)負荷でそれぞれ細胞高が増大した(内腔に突出)。並行して、AE1 mRNA発現(α型、酸負荷)、Pendrin mRNA, Ca-sensing receptor (CaSR) mRNA発現(β型、アルカリ負荷)が増加した。現在、混合CaC/CaPi負荷実験を解析中である。 2. 5/6腎摘マウス(術後5 wk ~7 mo)は、摂食量・体重・自由運動量・運動負荷耐性(トレッドミル)に差はなく、飲水量のみ4.5 ml/d (Cont)から8.0 ml/d に増加した(術後9 wk)。また、5/6腎摘マウス(n=4)は、この間常に尿タンパクは陰性だったが、血漿浸透圧(333 mOsm/kgH2O), 血漿クレアチニン濃度(0.99 mg/dl)が上昇し、腎重量も増加した(250 mg)(術後7 mo)。腎組織像として、糸球体・近位直尿細管の肥大、腎間質の線維化(髄質外層>皮質)が観察された。トレッドミルを用いた間欠的運動負荷の有無による、腎組織学的差異は認められなかった。これらの結果は、5/6腎摘マウスが、ラットモデルとは別の意味で、中長期CKDモデルとして有用であることを示した。 3. 培養MDCK細胞のドーム形成、退縮については培養細胞の状態が悪く(ドーム形成がコントロールできない)、ドーム退縮の要件を精査できなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記1. の一部については、米国腎臓学会(Philadelphia, USA, 2014.11)で発表した。 上記2. の一部については、日本腎臓学会東部学術大会(新宿, 2014.10)で発表した。 上記3. については、異なる系の培養MDCK細胞で、ドーム形成の条件検討を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
1. マウスを混合CaC/CaPi食で飼育し、 血漿・尿の酸塩基バランスを調べ、並行して、腎集合管間在細胞(α型、β型)の細胞応答を解析する。上記プロトコールをPendrin-/-マウスでも実施し、WTマウスと比較する。 2. 5/6腎摘マウスの全身状態が予想以上に健康だったので、運動負荷耐性(トレッドミル)に健常マウスと差は見られなかった。むしろ、腎修復機序解明のモデルマウスとして使えるよう、腎臓においてNestinなどの遺伝子発現を調べる。 3. 外部機関から新規に培養MDCK細胞株を購入し、ドーム形成・退縮機序について調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究スタート時の培養MDCK細胞株(IP3-GFP)のドーム形成が安定しなくなったので、ドーム退縮機序の解明など予定していた実験ができなくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
外部公的機関から新規にMDCK細胞株を購入し、ドーム形成を促進する培養条件を検討すると共に、新規細胞株のcharacterization実験を行う。ドーム形成誘導条件が確立すれば、今年度実施できなかった実験を予定通り行う。
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