研究課題
睡眠時無呼吸症候群(SAS)に合併する高血圧症では、治療に反応しない患者が多く、その発生機序の解明が喫緊の課題である。いままで我々は間歇的低酸素曝露を長期間・低コストでラットに負荷し、再現性よく高血圧を発症するSASモデルを確立し計測を行ってきた。本研究は、睡眠時無呼吸の病態である間欠的低酸素が腎交感神経活動を介してどのように血圧上昇を引き起こすのかNa再吸収分子機構および内皮機能から解明することを目的とする。長期間欠的低酸素暴露中の血圧・心拍数の変化の有無をテレメトリー装置にて、継時的に測定した。高食塩(8%NaCl)の負荷により血圧は負荷前よりも20-30mmHg上昇し、低食塩(0.5%NaCl)によって低下することを確認した。このことから食塩感受性を示していることが明らかとなった。食塩感受性のメカニズムを探るため、長期間欠的低酸素暴露後の腎臓でのNa排泄の変化を検討する事とした。サイアザイド(HCTZ)およびアミロライド(Amiloride)を投与し、変化を30分ごとに記録した。長期間欠的低酸素暴露によりサイアザイドの反応性は更新し、UNaVの変化は有意に増加した。一方アミロライドは長期間欠的低酸素暴露では変化がなく、長期間欠的低酸素暴露の食塩感受性はNa+-Ca2+ exchanger(NCC)を介している可能性が示唆された。これらの所見をもとに、次年度は主に間欠的低酸素におけるNa+-Ca2+ exchanger(NCC)の発現機能の変化の解析について検討する。
2: おおむね順調に進展している
長期間欠的低酸素暴露におけるテレメトリーによる観血的血圧測定は安定しており、高食塩(8%NaCl)の負荷により血圧は負荷前よりも20-30mmHg上昇することを再現することができた。膀胱カテーテルによる利尿剤薬剤投与によって尿中ナトリウム排泄を継時的に測定することができ、長期間欠的低酸素暴露によるサイアザイド(HCTZ)およびアミロライド(Amiloride)での変化も確認することができた。
今後は長期間欠的低酸素暴露における食塩感受性のメカニズムの解明として、腎Na再吸収に関与するNa+-K+-ATPase, Na+-Ca2+ exchanger (NCC), Na-Cl+ cotransporter, epithelial sodium channe l (ENac)の内、特に、ENac・NCCの細胞膜発現が細胞外Na+の取り込みに重要であるとされる。これらのchannel蛋白の細胞内の局在と発現量を調べる。
抗体の購入が納品が遅れたため次年度となった。
腎トランスポーターの解析に使用する。
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