研究課題
研究の目的:アルツハイマー病における病態解明、新たな予防・治療法の開発に向けて、アミロイドβ蛋白(Aβ)の凝集過程を高速AFM(原子間力顕微鏡)を用いてリアルタイムで観察する試験管内モデルを開発・確立し、詳細なAβ凝集過程を明らかにする。研究実施計画:①前年度に確立した方法にて新鮮なAβ42溶液からlow molecular weight peak(LMW)とプロトファイブリル(protofibril :PF)のpeakを取り出す。②高速AFMを用いて取り出してきたPFをインキュベートしてAβ42線維形成過程を調べる。③LMWをミリセチンと共にインキュベートとしてAβ42線維形成に及ぼすフェノール化合物の影響を観察する。結果:①PFのインキュベートでは、LMWのインキュベートですでに十分なAβ42線維が形成される1時間を経過しても十分なAβ42線維の形成は認められなかった。②フェノール化合物(ミリセチン)はAβ42線維形成を抑制するが、その効果は可逆的であった。結論:PFから成熟線維形成過程はLMWよりも遅く、PFはLMWから最終段階である成熟線維形成までの経路と同じ経路上にはない可能性がある。Aβ42線維形成はミリセチンによって可逆的に抑制される。今後は、PFの脱重合過程に関しても検討する。
1: 当初の計画以上に進展している
平成27年度に予定していたLMWとPFの線維形成過程の観察は終了し、平成28年度に予定していたフェノール化合物の影響も終了した。
PFの線維形成過程が遅いことよりPFの脱重合過程を調べる必要があり、サイズ排斥クロマトグラフィー等を用いてPFの脱重合の可能性を調べる必要はある。
予想されていたよりはやく今年度に予定していたAFMの観察が終了したことと今年度の学会発表(海外)を次年度に変更したことにより平成27年度の費用が節約できたため、それに伴う経費は繰り越しした。
平成28年度は、プロトファイブリル(PF)からの脱重合過程を高速AFMで形態学的に検討するだけでなく、サイズ排斥クロマトグラフィーを用いて生化学的に検討する。PFは不安定で試料の準備に時間がかかること、それらの結果がでたうえで研究成果を国内外の学会にて発表を行う予定であり、平成27年度からの繰り越し分の費用も使用する。
昭和大学医学部内科学講座神経内科学部門ホームページhttp://showa-u-neurology.com
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