研究課題/領域番号 |
26461270
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
植村 健吾 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (00378663)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 神経分子病態学 / 認知症 / 脳、神経 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、Aβ負荷へのApoE3、ApoE4陽性アストロサイトの応答の違いを明らかにした。 APOE ε3およびε4ノックインマウス初代アストロサイトにAβペプチドを負荷し、上清中に分泌量が増加する「因子A」をELISA法、Immunoblotting法、定量的PCR法で定量比較した。申請者らのグループが保有するAPPトランスジェニックマウス(J20マウス)とAPOE ε3およびε4ノックインマウスの交配を開始し、次に「因子A」の局在をAPP/ APOE ε3およびAPP/ APOEε4マウス間で比較検討した。AD患者脳サンプルを用いてAPOE ε3およびε4を保有する患者の脳切片における「因子A」の局在の違いも検討した。結果、ApoE4陽性アストロサイトでは、アミロイド負荷に応答して「因子A」の放出が促進されることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画にある通り、アミロイド負荷に応じた「因子A」の放出が、アストロサイトのApoEジェノタイプによって変化することをin vitro, in vivo で観察することができた。ヒト脳においても、アルツハイマー病の脳で『因子A」の増加を既に観察している。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度はアストロサイトとニューロンのクロストーク機構の解明を目的とする。 初代神経細胞へ精製した「因子A」およびAPOE ε3およびε4ノックインマウス初代アストロサイトの上清を負荷し、タウのリン酸化の程度をImmunoblotting法、蛍光免疫染色法で検討する。その際、詳細なタウのリン酸化誘導機序の同定も行う。「因子A」のトランスジェニックマウスとAPOE ε3およびε4ノックインマウスを交配し、リン酸化タウへの影響を検討する。 さらに、確証実験としてAPP/ APOE ε3およびAPP/ APOEε4マウスを用いて老人班近傍のニューロンに着目しリン酸化タウ量を免疫組織染色法で検討する。さらには、APOE ε3およびε4保有患者脳切片を用いて同様の解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度使う予定の実験を一部次年度に移行したため、研究予算の繰越を行なった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度早々に使用して、抗体を購入する予定である。
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