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2014 年度 実施状況報告書

血液脳関門を介した脳内Aβ除去システムの構築

研究課題

研究課題/領域番号 26461271
研究機関山口大学

研究代表者

佐野 泰照  山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20379978)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード血液脳関門 / アルツハイマー病
研究実績の概要

アルツハイマー病(AD)では,Aβの蓄積がADの発症や進展に関与している.AD脳でAβが蓄積する機序についてはいまだ不明な点が多いが,Aβのクリアランスの低下がAβ蓄積の原因のうちの一つであると考えられている.BBBを介したAβ排出の担い手としてLRP1, LRP2, Pgpなどが報告されており, Aβの末梢から脳内へのBBBを介した取り込みにはRAGEが関与していると報告されている.我々が独自に構築したヒトin vitro BBBモデルを用い,Aβ排出およびAβ取り込みを制御しうる物質を同定し,Aβ輸送システムの制御機構を解明することが本研究の目的である.BBBには脳微小血管内皮細胞のほかにペリサイトおよびアストロサイトという構成細胞が存在する.近年,BBBを介したAβ輸送にペリサイトが大きく関与しているとする動物実験を用いた研究発表がなされている.そこで,本年度は我々が樹立したヒトBBB由来ペリサイト株を用いて,Aβ輸送に関与すると想定されている分子が,ペリサイトにも発現しているか否かを解析した.また,mRNAレベルおよび蛋白レベルで脳微小血管内皮細胞とペリサイトにおけるAβ輸送分子の発現を比較定量した.結果,内皮細胞で主としてAβ蛋白の脳外への排出に大きく関与しているとされていたLRP1およびLRP2は圧倒的にペリサイトにmRNAおよび蛋白レベルともに多く発現していた.一方,P糖蛋白やABCG2などのtransporterは内皮細胞に発現しており,ペリサイトにはごくわずかしか発現していなかった.このことは,脳微小血管内皮細胞ではABCG2などのトランスポーターを介して,ペリサイトではLRP1やLRP2を介してAβを脳内から血管側へ排出している可能性が示された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

H26年度はAβ輸送を促進する物質の同定を始める予定であったが,最新の研究論文を参考に,脳微小血管内皮細胞以外のAβ輸送担当細胞の可能性を想定し,ペリサイトに着目し解析を実施した.その結果,ヒト血液脳関門では脳微小血管内皮細胞とペリサイトの2つの構成細胞によってAβ蛋白輸送がなされている可能性が浮上した.H27年度以降はこの2つの細胞を用いた研究を同時進行させることにより,当初の研究目標である血液脳関門を介した脳内Aβ除去システムの構築が飛躍的に加速する可能性が高まったため,おおむね順調に進展していると評価した.

今後の研究の推進方策

上記本年度の実績で述べたように,ヒト血液脳関門では脳微小血管内皮細胞とペリサイトの2つの細胞によってAβ蛋白の能動輸送が施行されている可能性が深まったため,内皮細胞およびペリサイトの両細胞ごとにAβ輸送を促進させる物質を数多く同定し,アルツハイマー病治療薬の開発につなげていく方針である.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] An in vitro blood-brain barrier model combining shear stress and endothelial cell/astrocyte co-culture2014

    • 著者名/発表者名
      Takeshita Y, Obermeier B, Cotleur A, Sano Y, Kanda T, Ransohoff RM
    • 雑誌名

      J Neurosci Methods

      巻: 232 ページ: 165-72

    • DOI

      10.1016/j.jneumeth.2014.05.013

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Fingolimod prevents blood-brain barrier disruption induced by the sera from patients with multiple sclerosis2014

    • 著者名/発表者名
      Nishihara H, Shimizu F, Sano Y, Takeshita Y, Maeda T, Abe M, Koga M, Kanda T
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 10 ページ: e0121488

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0121488

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Markedly Increased IP-10 Production by Blood-Brain Barrier in Neuromyelitis Optica2014

    • 著者名/発表者名
      Shimizu F, Nishihara H, Sano Y, Takeshita Y, Takahashi S, Maeda T, Takahashi T, Abe M, Koga M, Kanda T.
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 10 ページ: e0122000

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0122000

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Analysis of factors regulating the expression of AQP4 in human astrocyte2014

    • 著者名/発表者名
      Yasuteru Sano, Mariko Oishi, Hiroyo Haruki, Fumitaka Shimizu, Masaaki Abe, and Takashi Kanda
    • 学会等名
      12th International Congress of NeuroImmunology
    • 発表場所
      Mainz, Germany
    • 年月日
      2014-11-09 – 2014-11-13
  • [学会発表] Role ATP-binding cassette transporters in efflux of amyloid-β at the human blood-brain barrier2014

    • 著者名/発表者名
      Yasuteru Sano, Kazuyuki Saito, Masaaki Abe, Hideaki Nishihara, and Takashi Kanda
    • 学会等名
      Neuroscience 2014
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(横浜市)
    • 年月日
      2014-09-11 – 2014-09-13
  • [学会発表] 血液脳関門のAβ蛋白輸送担体を制御する因子の検索2014

    • 著者名/発表者名
      佐野泰照,清水文崇,前田敏彦,安部真彰,大石真莉子,佐野宏徳,西原秀昭,神田 隆
    • 学会等名
      第55回日本神経学会学術大会
    • 発表場所
      福岡国際会議場(福岡市)
    • 年月日
      2014-05-21 – 2014-05-24

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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