研究課題
アルツハイマー病 (Alzheimer’s disease: AD)に特徴的な老人斑アミロイドはAβ蛋白からなり,Aβの蓄積がADの発症や進展に関与していると考えられている.AD脳でAβが蓄積する機序についてはいまだ不明な点が多いが,Aβの除去能力の低下がAβの脳内レベルを上昇させ,AD発症の一因となっている可能性が注目されている.従来,血液脳関門(blood-brain barrier: BBB)を構成する微小血管内皮細胞に発現するLDL receptor-related protein-1(LRP1)が脳内のAβの循環血液中への排出に関与していると報告されてきた.その一方, BBBを構成するペリサイトに発現するLRP1がAβ蛋白のBBBを介した排出に関与している可能性を示す報告がなされた.H28年度は我々が樹立・保持しているヒトBBB由来脳微小血管内皮細胞株(TY10株)およびペリサイト株(HBPCT株)を用い,ヒトBBBにおけるAβ除去機構に関する両細胞の役割について検討した.結果,P-gpやABCG2といったABC transporterはHBPCTよりもTY10に多く発現しており,LRP1はTY10よりもHBPCTに多く発現していた.さらにHBPCTにLRP1の阻害蛋白であるRAPをあらかじめ作用させると,RAPのない群に比し有意にAβの取り込みが低下した.以上より,ヒトBBBでは脳微小血管内皮細胞ではABC transporterを介して,またペリサイトではLRP1によりAβ除去が行われていることが示唆された.
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