研究課題/領域番号 |
26461277
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
小澤 健太郎 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (80507393)
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研究分担者 |
吉栖 正典 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60294667)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | パーキンソン病 |
研究実績の概要 |
ゲノム編集のために PARK2 (parkin) のゲノム上に DNA 二本鎖切断を起 こす必要がある。そのため TALEN を作成した。作成した TALEN の活性をルシフェラーゼを利用したレポータ ーアッセイにより確認した。比較として基地の配列に対して切断することが確認されている Zinc Finger Nuclease と TALEN のベクターを使用した。前述したとおり、変異を入れたい配列の近傍で二か所 TALEN を設計したが、上流側に設計した TALEN は活性が低く、下流側の TALEN は positive control に比べ ても高い活性を示したため、下流側の TALEN ベクターを使用することとした。 作成した TALEN ベクターをターゲッティングベクターとともに細胞へ導入し、選別を行った。その後、ゲノム DNA を取得、PCR 法により 2 クローンが組み換えが起こっていることを確認した。次に再び TALEN ベクターをターゲッティングベクターを導入し、PCR 法により組み換えが起こっているクローンであると確認された。 次にサザンブロット法とシーケンス法により組み換えと変異を確認した。 次に遺伝子組み換えの際に挿入した Selection Marker が細胞に及ぼす影響を排除するため、Cre リコンビナ ーゼを強制発現させることにより、LoxP で挟まれた Selection Marker の配列の除去を行った。Cre リコンビナ ーゼを発現するベクターpBS185 を一過性に強制発現させ、その後限界希釈法によりクローン化した細胞からゲ ノム DNA を精製し、PCR 法により LoxP 配列が除去されていることを確認した。以上より SH-SY5Y 細胞においてゲノム編集により、PARK2 遺伝子 (parkin) に変異を入れることに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書に書いた通り、初年度はゲノム編集技術を使ってノックイン細胞を樹立する計画であった。上記に書いてある通り、細胞の作成に成功しているため。
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今後の研究の推進方策 |
後は樹立された KI 細胞を用いて、parkin に対する NO 修飾が細胞機能、特にミトコンドリアの機能にどのよ うな影響を与えるかを検討する。 まず内在性の parkin の NO による修飾が 323 番目のシステインに起こるかどうかを検討する予定である。何 度か試行しているが、内在性の parkin は発現量が低く、SH-SY5Y 細胞においては確認できていない。これはス ケールアップにより発現量の低さに対処する予定である。 またミトコンドリアの機能として ATP 産生を評価する予定である。現在まだ preliminary ではあるが、KI 細 胞において ATP 産生が低下しているデータを得ている。しかしミトコンドリアの分解はミトコンドリアの外膜 上のタンパク質、マトリックスのタンパク質の発現量を比較する限り、野生型細胞と KI 細胞とで差は認められ ない。今後はこの ATP 量の測定の再現性を確認し、さらにミトコンドリアの機能を評価したいと考えている。 ATP の産生に差があるのであれば、これが創薬スクリーニングの指標として使える可能性があると考えている。
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