研究課題/領域番号 |
26461279
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
安部 貴人 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (30365233)
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研究分担者 |
畝川 美悠紀 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (10548481)
高橋 慎一 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (20236285)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | Nrf2 / 脳虚血 / dimethyl fumarate |
研究実績の概要 |
本年度はin vivoモデルを用いて脳虚血におけるKeap1/Nrf2システムの役割を検討した。Keap1/Nrf2システムを活性化させるといわれるdimethyl fumarate(DMF)をマウスに投与し、その後suture法による中大脳動脈閉塞再灌流(MCA-O)モデルを作成した。溶媒のみを投与したvehicle群(96時間、168時間)、DMF 30mg/kgを投与したDMF群(96時間:n=7、168時間:n=9)にわけ、梗塞体積を比較した。MCA-Oにおいてはレーザードップラー血流計にて脳血流を測定しながらナイロン糸で作成した塞栓糸を内頸動脈に挿入、ウィリス動脈輪のMCA起始部まで挿入しMCAを閉塞し、20分間留置した後に再灌流した。薬物投与は96時間群、168時間群共に、再灌流10分後から開始として朝・夕1日2回を4日間とし、胃管からの投与とした。DMF投与によりMCA-O+再灌流後96時間、168時間共にDMF群において有意な梗塞体積の縮小を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in vivo 脳虚血再灌流モデルにおいてDMF投与により神経保護効果が認められた。DMFの新規脳梗塞治療薬としての可能性がげっ歯類モデルにおいて示された。 また、現在DMFの虚血性神経細胞保護のメカニズムの検討を並行して行っている。SDラットから培養したneurons、astroglia、microgliaにおいて虚血負荷、DMF投与によるHO-1上昇効果を検討しており、間もなく結果が得られると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
まず培養neurons、astroglia、microgliaにおけるoxygen glucose deprivationでHO-1上昇効果を検討し、in vitroでどの細胞にKeap1/Nrf2システムの活性化がおこるかどうか検討する。その結果を確認後、Keap1/Nrf2システムと虚血性神経細胞障害の関連を直接検討するため、Nrf2ノックアウトマウスを用いる。Nrf2ノックアウトマウスにおいてin vivo, in in vitroでのDMFの効果を検討することにより、DMFの神経保護効果がNrf2を介しているか明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度定位脳固定手術装置を購入しなかったことにより、若干の経費が来年度にも繰り越されている。
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次年度使用額の使用計画 |
RT-PCR,western blotなどの分子生物学的アッセイに予想以上に費用がかかっており、繰り越された資金も含めてまず物品費に予算を充当していく。
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