• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実施状況報告書

部分凝集αシヌクレインによる神経細胞機能異常からパーキンソン病の病態を探る

研究課題

研究課題/領域番号 26461287
研究機関独立行政法人国立病院機構(宇多野病院臨床研究部)

研究代表者

山本 兼司  独立行政法人国立病院機構(宇多野病院臨床研究部), その他部局等, 研究員 (50378775)

研究分担者 澤田 秀幸  独立行政法人国立病院機構(宇多野病院臨床研究部), その他部局等, その他 (30335260)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードαシヌクレイン / パーキンソン病 / レビー小体型認知症 / オリゴマー / 膜興奮性 / シナプス伝達 / 神経変性 / カルシウム
研究実績の概要

本年は、部分凝集αシヌクレインによる大脳皮質錐体細胞の発火抑制のメカニズムについて検証した。ドーパミンとインキュベートしたαシヌクレイン溶液(aS+DA)には高次オリゴマーが含まれている。高次オリゴマーを含まないαシヌクレイン(aS)を対照とし、これらをパッチピペットでマウス前頭葉皮質錐体細胞に注入して脱分極刺激を与え、部分凝集αシヌクレイン導入時の発火抑制のメカニズムを検討した。

その結果、1)aS+DA投与では、aSに比べて錐体細胞の発火頻度を低下された。2)aS+DAは、単発スパイクの特性や静止膜電位を変化させずに、連発スパイク後の過分極(AHP)の持続時間を延長させ、AHP電流を増強した。3)このaS+DA投与時の発火頻度抑制とAHP電流の増強は、L型電位依存性Ca2+チャンネル(L-VDCC)・SK型K+チャンネル(SK)・IP3受容体(IP3R)の阻害剤、細胞内Ca2+キレーター、小胞体Ca2+枯渇剤の投与によって打ち消された。4)P/Q型・N型VDCC、BK型K+チャンネル、リアノジン受容体の阻害はaS+DAの効果を打ち消さなかった。5)Ca2+電流は、aS+DA投与群とaS投与群で、有意な差を認めなかった。

これらの結果より、αシヌクレインオリゴマーは、VDCCへの直接作用によってではなく、小胞体からのCa2+放出を介したCa2+L-VDCC・SK・IP3Rの機能連関により、大脳皮質錐体細胞のAHPを増強して発火頻度を低下させることが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の計画の主目的である、部分凝集αシヌクレインによる大脳皮質錐体細胞の発火抑制機構の解析を進めることができた。また、このメカニズムを担う小胞体からのCa2+放出を介するL-VDCC・SK・IP3Rの機能連関は、大脳皮質錐体細胞におけるシナプス伝達に関わっていることが知られていることから、αシヌクレインオリゴマーによるシナプス伝達への作用点の検証についての足掛かりを得ることができた。

今後の研究の推進方策

1) 部分凝集したαシヌクレインの作用点を同定する目的で、IP3の産生やIP3受容体の活性化の有無、ミトコンドリアの関与、細胞内カルシウム動態の変化について検討する。

2) 部分凝集αシヌクレインが、L-VDCC・SK・IP3Rの機能連関を強めることによってシナプス伝達にどのような影響を与えるかを、微小EPSPやシナプス刺激時のEPSPの測定によって検証する。

3) 大脳皮質錐体細胞で見られた部分凝集αシヌクレインによる発火抑制機構が中脳ドパミン細胞でも見られるかを、自律発火や脱分極時のスパイク特性を調べることによって検証する。

次年度使用額が生じた理由

本年は主として、すでに確立された細胞電気生理学的手法を用いた薬理学的実験を主たる実験とし、ストックの物品を使用した。

次年度使用額の使用計画

課題の検証に必要な薬品や蛋白、抗体、材料の購入、および研究発表に使用する予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2015 2014

すべて 学会発表 (5件)

  • [学会発表] Functional coupling of SK channel and IP3 receptor contibutes the suppression of spike frequency by α-synuclein oligomer2015

    • 著者名/発表者名
      Kenji Yamamoto, Hideyuki Sawada
    • 学会等名
      第38回日本神経科学大会
    • 発表場所
      神戸、神戸国際会議場
    • 年月日
      2015-07-28 – 2015-07-31
  • [学会発表] alpha-synuclein oligomers enhance functional coupling of SK, VDCC and IP3R2015

    • 著者名/発表者名
      Kenji Yamamoto, Hideyuki Sawada
    • 学会等名
      第56回日本神経学会学術大会
    • 発表場所
      新潟、朱鷺メッセ
    • 年月日
      2015-05-20 – 2015-05-23
  • [学会発表] Inovolvement of SK-type calcium-activated potassium channel in α-synuclein oligomer-mediated suppression of spike frequency in neocorical2014

    • 著者名/発表者名
      Kenji Yamamoto, Hideyuki Sawada
    • 学会等名
      Annual Meeting of Society for Neuroscience 2014
    • 発表場所
      米国、シカゴ
    • 年月日
      2014-11-15 – 2014-11-19
  • [学会発表] α-synuclein oligomers suppressed spike frequency by enhancing afterhyperpolarization in neocortical pyramidal neurons2014

    • 著者名/発表者名
      Kenji Yamamoto, Hideyuki Sawada
    • 学会等名
      第37回日本神経科学大会
    • 発表場所
      横浜、パシフィコ横浜
    • 年月日
      2014-09-11 – 2014-09-13
  • [学会発表] αシヌクレインオリゴマーによる大脳皮質錐体細胞の発火抑制機構2014

    • 著者名/発表者名
      山本兼司、澤田秀幸、他
    • 学会等名
      第55回日本神経学会学術大会
    • 発表場所
      福岡、福岡国際会議場
    • 年月日
      2014-05-21 – 2014-05-24

URL: 

公開日: 2016-05-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi