本研究では、電気生理学的、免疫化学的手法を用いて、部分凝集αシヌクレインが活動電位依存性カルシウム恒常性不全にどのような機能不全を生ずるかを検討した。その結果、細胞内部分凝集αシヌクレインは、IP3受容体の開口を制御するcalcium binding protein 1と結合し、IP3受容体から引き離すことによって、連発発火時にIP3受容体からの異常カルシウム遊離を引き起こすことが判明した。この病的カルシウム遊離がパーキンソン病やレビー小体型認知症でカルシウム恒常性不全を生じて、選択的神経細胞脆弱性やαシヌクレイン病理の拡がりをもたらす分子的基盤となっている可能性が示された。
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