研究課題/領域番号 |
26461288
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
割田 仁 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30400245)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 神経再生 / ペリサイト / 運動ニューロン |
研究実績の概要 |
ALSにおける脊髄運動ニューロン変性脱落は、早くからニューロン以外の細胞増殖をもたらす。本研究では、神経再生・神経変性に両者において重要な意義をもつとされる微小血管に注目し、その機能維持に重要なペリサイトに注目した。ペリサイトは成体中枢神経系の神経血管ユニット機能調節、および損傷時に誘導される血管新生において重要な役割を担っている。また近年、ペリサイト欠損マウスでは神経変性が生じることが報告された。一方、家族性・孤発性ALSの剖検脊髄微小血管におけるペリサイトの減少と血管壁からの脱離が報告されている。 本研究では、内在性神経再生の足場となる血管新生に重要で、神経変性とも密接な関わりを持ち得るペリサイトの新生増殖について、ALSモデル動物を用いて検索した。ペリサイトは微小血管壁細胞の一つとして、血管内皮細胞とアストロサイト終足間に基底膜で囲まれた細胞として同定できた。野生型対照群に比して変異SOD1遺伝子導入ラットの脊髄腹側では発症前より、神経変性と並行した新生ペリサイトの有意な増加を認めた。そのピークは発症後早期にあり、後期にはその程度を減じる傾向を認めた。遅れて発症後早期よりALSモデルラット脊髄の中心管周囲においても有意なペリサイト新生増加が明らかとなった。 以上のように、当該年度、本研究ではALSモデル変性病態下の脊髄にペリサイト新生促進を見出した。今後、新生微小血管との機能的関連、神経再生と神経変性における役割について介入研究を要するとともに、培養ペリサイトいおける細胞生物学的解析を要する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に則って本研究を実施し、ALSモデル動物脊髄の病変部位におけるペリサイト新生促進を明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
ALSモデルラット由来ペリサイトの細胞生物学的解析を行うため、脊髄由来ペリサイト初代培養系を確立する。本実験系の確立が困難な場合には正常ヒト脳由来ペリサイトに変異SOD1を発現させた、ヒトALSペリサイトモデルを作製する。ペリサイト選択的マーカー蛋白発現を確認後、増殖率、細胞形態、生存率解析を行って変異SOD1によるペリサイト病態を明らかにする。 上記解明後、ペリサイト・血管内皮細胞・アストログリア三重共培養モデル確立をめざし、細胞生物学的解析と血液-脊髄関門の機能評価を行うとともに、血液-脊髄関門維持に要するシグナル分子の発現変動を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
既存試薬で研究実施が可能であったため。
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次年度使用額の使用計画 |
当該年度から9,342円を次年度試薬購入に使用し、研究を実施する。
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