研究課題/領域番号 |
26461291
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
宮嶋 裕明 浜松医科大学, 医学部, 教授 (90221613)
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研究分担者 |
河野 智 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (40397386)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | セルロプラスミン / 無セルロプラスミン血症 / 鉄 / 亜鉛 / ヘプシジン / フェロポルチン / ヘファエスチン / アストロサイト |
研究実績の概要 |
我々はセルロプラスミン(CP)遺伝子の変異により、脳を含む全身に過剰な鉄沈着をきたす無CP血症を見出し、貧血、糖尿病に加え、脳への過剰な鉄沈着に対応する不随意運動、運動失調、認知症などの神経症状を発症することを明らかにしてきた。そして、ヒトの鉄代謝調節では、鉄酸化活性を持つCPによる細胞内から細胞外への鉄放出が重要であることを示した。また、無CP血症の体内鉄代謝では、鉄放出を抑制する蛋白質ヘプシジンの産生が肝臓で低下していることを示した。一方、脳の鉄代謝系では、グリア細胞、神経細胞にCPと同様の鉄酸化活性を有するヘファエスチン(HEPH)、あるいはアミロイド前駆体蛋白質APPが存在しており、無CP血症では脳のCP欠失をこれらの蛋白質が補完していることが予想される。そこで今回は、細胞の鉄排出に関連する鉄トランスポーター、フェロポルチン(FPN)とその抑制蛋白質、ヘプシジンとCPとの相互作用、CP類似蛋白質のヘフェスチン(HEPH)などの補完作用について、無CP血症の剖検脳で検討した。この結果、中脳黒質におけるドパミン神経細胞ではHEPHがCPに対して補完的に増加していた。また、アストロサイト、ミクログリアなどで産生されるにおけるFPNの機能を抑制するヘプシジンが減少していることを明らかにした。また、2名の無CP欠症患者において、臨床的には亜鉛の内服によって神経症状の進行が抑制、あるいは不随意運動が軽減していることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
無CP血症の剖検脳における、鉄関連蛋白質の発現と局在については、1例の剖検脳においておおよその傾向を見ることができた。更に2例の剖検脳でこの傾向が共通して存在しているのかを確認する必要がある。そして、次には培養細胞での鉄関連蛋白質の相互作用、補完作用について、CPをノックダウンすることにより鉄負荷に対する各蛋白質の動的な変化を経時的に観察する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
神経細胞腫瘍由来のSCCH-26細胞、比較的鉄沈着をきたしやすいドパミン作動系神経細胞、ドパミン系と密接に関連するコリン作動系神経細胞、および対照にグリア細胞腫瘍由来のC6細胞、ヒトアストロサイト培養細胞を用い、CPをノックダウンすることにより、HEPH、APPの発現、FPN活性を測定し、補完作用と鉄放出能について剖検脳の結果と比較する。また、CPにHEPH、APPを組み合わせてノックダウンした細胞、ヘプシジン添加によるFPNを抑制した細胞での鉄酸化蛋白質の補完作用、鉄放出能について検討する。
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