研究課題/領域番号 |
26461292
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
川頭 祐一 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (40569779)
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研究分担者 |
飯島 正博 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座講師 (40437041)
小池 春樹 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80378174)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | CIDP / TAG-1 / ランビエ絞輪部 / イオンチャンネル / B7-2ノックアウトマウス / TAG-1ノックアウトマウス / 軸索障害 |
研究実績の概要 |
慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)は、末梢神経の病変部位における脱髄を特徴としているが、治療反応性や予後不良因子には軸索障害の関与が示唆されている。我々はCIDPの予後因子の解析から、ジャクスタパラノードに発現しているTransient Axonal Glycoprotein-1(TAG-1)が、軸索障害の発生に重要な役割を果たしていることを示唆した。本研究はTAG-1の役割を中心に軸索障害機序の解明を目指し、ヒト末梢神経組織と動物モデルを用いた2本の柱から成り立っている。ヒト生検標本を用いた研究では、CIDPをはじめ種々の免疫性脱髄性ニューロパチーでランビエ絞輪部のイオンチャンネル、パラノードやジャクスタパラノードの分子の分布異常について解析を進めている。ナトリウムチャンネルはPOEMS症候群ではランビエ絞輪部からパラノード側に拡散して分布するのに対し、抗MAG抗体陽性ニューロパチーでは分布異常はみられなかった。抗MAG抗体陽性ニューロパチーのneurofascinは、脱髄の初期段階でインターノード側に拡散する特徴があり、疾患により分布異常の特徴が異なることが明らかとなっている。動物モデルについては、慢性進行性脱髄性ニューロパチーのモデルマウスであるB7-2ノックアウトNODマウスと、TAG-1ノックアウトマウスを用いて解析を進めている。NODマウスはEAN誘導とは異なり、細胞性免疫による脱髄をきたすことが知られている。NODマウスの形態学的解析では、局所に細胞浸潤を認め、その周囲の線維は著明な脱髄をきたしていることが明らかとなった。ダブルノックアウトマウスは引き続き個体数を増やしている段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒト生体試料を用いた形態学的・免疫組織学的研究は、順調に症例数が増えている。疾患ごとに異なる特徴が明らかになってきており、引き続き症例数を増やして解析を進めていく。 NODマウスおよびTAG-1ノックアウトマウスの形態学的・免疫組織学的解析を進めている。また、両マウスをかけ合わせた、ダブルノックアウトマウスの作成はおおむね予定通り進んでいる。5世代までは完了しており、引き続き個体数を増やして軸索障害に至る機序の解明を目指している。
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今後の研究の推進方策 |
ヒト生体試料を用いたランビエ絞輪部周辺分子の発現解析は、今年度行った研究を継続し、症例数の増加に努める。同時に収集している臨床情報や電気生理検査、治療などのデータベースと、ランビエ絞輪部周辺分子の発現解析から、予後予測因子や治療反応性の解析を進めていく。実験動物を用いた解析では、ダブルノックアウトマウスの解析を継続する。個体数が増えた段階で形態学的、免疫組織学的評価を行い、遺伝子発現プロファイルから軸索障害に関わる新規分子の探索を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
1月以降に使用した血液検査の支払いが平成28年度になる。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度より翌年度にかけて予定している血液検査への支払いに充当する。
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