研究課題/領域番号 |
26461294
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
瓦井 俊孝 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (50614137)
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研究分担者 |
梶 龍兒 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (00214304)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 運動ニューロン病 / 運動ニューロン死 / 小胞体 / ゴルジ体 / 筋萎縮性側索硬化症 / 痙性対麻痺 / 末梢神経障害 |
研究実績の概要 |
新規運動ニューロン病の原因遺伝子であるTRK-fused gene (TFG)の機能解析のため、①培養細胞で安定的に発現させる実験系の確立、②ヒト変異TFG (Pro285Leu-TFG)を過剰に発現させるトランスジェニックマウスの作製、③患者リンパ球より作成したiPS細胞の樹立を行った。それぞれの実験系において、細胞内タンパク質、特に筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic Lateral Sclerosis; ALS)で関与が証明されているTAR DNA-binding protein 43 kDa (TDP-43)タンパク質、 fused in sarcoma (FUS)タンパク質を中心に細胞内の輸送、局在に異常を呈していないかを中心に調べた。その結果、変異TFGの発現によりTDP-43, FUSの細胞内局在の変化が確かめられた。現在、作成したトランスジェニックマウス及び樹立したiPS細胞で、これらの蛋白質の動態を調べている。トランスジェニックマウス作製の目的の一つは、ヒト病理で認められたTFG蛋白質の凝集を再現できるか、そして、運動ニューロン死が生じるのかという点である。16週齢を過ぎた現在、動物行動評価では、運動ニューロン死を疑わせる所見は認められていない。凝集体の形成に関しては、ヒト変異TFG (Pro285Leu-TFG)タンパク質を特異的に認識するモノクローナル抗体を作製し、病理学的検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
培養細胞を使った実験系で得られた結果を、トランスジェニックマウスやiPS細胞においても評価しており、仮説の病的メカニズム、すなわち、TFGの本来の機能の変化(gain of aberrant function)、そして蛋白症(proteinopathy)の検証を行っている。特にトランスジェニックマウスで、ヒトの病態を再現できるかを、経時的に調べており、工程通りデータは蓄積されるものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
ヒト変異TFG (Pro285Leu-TFG)タンパク質を特異的に認識するモノクローナル抗体、ヒトあるいはマウス特異的TFG抗体を用いてトランスジェニックマウス、iPS細胞の解析を行う。TFG変異による、異常な生化学的カスケードを明らかにし、治療の可能性を探る。また、本研究遂行中に、TFGの発現が線条体において、ストリオゾーム・マトリックス構造に一致した発現パターンを呈していることが分かり、運動ニューロン疾患以外の病態への関与を調べる予定である。
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