研究実績の概要 |
2012年に四肢の近位部優位に症状が出現する遺伝性運動感覚性ニューロパチー(Hereditary motor and sensory neuropathy with proximal dominant involvement; HMSN-P)の原因遺伝子であるTropomyosin-receptor kinase fused gene (TRK-fused gene; TFG) を発見した。線虫で機能解析は行われていたが、ヒト疾患との関連は調べられていなかった。TFGにおけるミスセンス変異の機能解析を行い運動ニューロン死のメカニズムを明らかにする目的で、1. 培養細胞における機能解析、2. iPS細胞における機能解析、3. 患者で見つかった変異Pro285Leuを持つヒトTFGを過剰に発現するモデルマウスを作成し解析を行った。その結果、1. 培養細胞内において、ALS関連蛋白のFUS, TDP-43の細胞内局在の変化が生じることを明らかにした。2. iPS細胞では、TFG凝集体形成の確認、proteasomeの障害が生じることを明らかにした。3. トランスジェニックマウスでは、TFG・TDP-43・Ubiqutin凝集体が出現していることを明らかにした。トランスジェニックマウスでは、生後40週齢より筋萎縮・体重減少が出現し、60週齢前後で死亡した。ヒトで認められた神経病理像も出現しており、特にTDP-43病理の解明に役立つものと考える。また治療介入のタイミングを決定する基礎資料にもなる。
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