研究課題/領域番号 |
26461295
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
真崎 勝久 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90612903)
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研究分担者 |
山口 浩雄 九州大学, 大学病院, 講師 (00701830)
山崎 亮 九州大学, 大学病院, 講師 (10467946)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 多発性硬化症 / 視神経脊髄炎 / コネキシン / グリアアセンブリ / 栄養供給障害 |
研究実績の概要 |
多発性硬化症(multiple sclerosis: MS)、視神経脊髄炎(neuromyelitis optica: NMO)、Balo病の脱髄病巣におけるコネキシン(connexin: Cx)蛋白の神経病理学的解析が完了し、急性期の脱髄病巣では共通してアストロサイトのCx43脱落が広汎に認められることを見出した。これら一連の研究成果を英文総説として発表した(Masaki K. Neuropathology, 2015)。さらに、NMO患者の脊髄病変の分布、進展に関する神経病理学的・神経放射線学的研究を行った。その結果、灰白質病変のみならず、白質とくに側索や後索に病変が多く存在すること、早期病巣と考えられるisolated perivascular lesionsも白質にのみ多発していたことを見出し、国際神経病理学会雑誌に報告した(Hayashida S, et al. Brain Pathol in press)。Isolated perivascular lesionでもCx43は発現が低下しており、早期からのグリア細胞間連絡障害が病態に寄与している可能性が示唆された。 次に、グリアシンシチウム破綻の観点から、中枢神経系に広く発現するグルコーストランスポーター(glucose transporters: GLUTs)および乳酸トランスポーター(monocarboxylate transporters: MCTs)の脱髄病巣における変化について解析を進めた。その結果、アストロサイトの血管周囲足突起に発現する monocarboxylate transporter 4 (MCT4)の急性期病変での脱落を発見した。一方、血管内皮細胞に発現するglucose transporter 1 (GLUT1)や MCT1は保持されており、グリア細胞を介した栄養供給経路に障害がある可能性を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
栄養トランスポーターの神経病理学的検討は概ね完了に近づいている。また、FDG-PETやMRSを用いたMSやNMO患者の画像的研究についても計画を検討している。
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今後の研究の推進方策 |
神経病理学的研究については、MSとNMO各群においてどの栄養トランスポーターが最も障害されているかを明らかにする。また、神経画像的研究についても検討をすすめていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
各種抗体の購入額が予想よりもやや低額で抑えられたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度も神経病理学的研究を継続予定であり、抗体購入など物品費として使用する。
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