研究課題
前年度に引き続き、抗中性糖脂質抗体の生物学的意義、産生機序を解明すべく検討を行った。抗体測定においてはFar-Eastern法(薄層プレート:TLCプレートに中性糖脂質(lactosylceramide:LacCer、glucosylceramide:GlcCer、galactosylceramide:GalCer)などをそれぞれ塗布し、展開溶媒で展開後、熱転写装置でPVDF膜に転写。そのPVDF膜をblocking bufferで処理後、患者血清や髄液で反応させる。その後2次抗体と反応させECLを使用し、陽性バンドの検出を行っている)を用い、抗中性糖脂質抗体の活性を測定した。脳脊髄根末梢神経炎(EMRN)の症例と、その他の神経疾患(特に自己免疫が機序に関連するとされる疾患;多発性硬化症や急性散在性脳脊髄炎、慢性炎症性脱髄性多発神経根炎、ギランバレー症候群など)との関係性を検討した。また国内外の大学・医療機関からの依頼を多数受け入れて、EMRNと考えられる症例の蓄積に加えその他神経疾患患者の蓄積も図ることができ、現在その検索患者数は200例を超えている。EMRN症例ではその全例が本抗体陽性であり、血清で陰性だった症例では脳脊髄液で陽性であり、本疾患と本抗体とは極めて高い相関関係があり、さらに病勢との間にも強い相関が見られたことから本疾患の優れたバイオマーカーとなる事が改めて確かめられた。又、症状出現様式にはheterogeneityが存在する事、陰性化しない症例では新たな病変が出現してくるなど本抗体の抗体価は予後のバイオマーカーになる可能性が示唆された(論文準備中)。現在、本抗体の出現機序及び免疫系細胞への細胞生物学的影響を明らかにすべく培養細胞系及び患者試料中の中性糖脂質代謝の異常をMS/MSを用いた高感度測定系で検討中である。
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