研究課題/領域番号 |
26461302
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研究機関 | 長崎総合科学大学 |
研究代表者 |
本村 政勝 長崎総合科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70244093)
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研究分担者 |
白石 裕一 長崎大学, 病院(医学系), 講師 (40423644)
中田 るか 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (70549394)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 重症筋無力症 / アセチルコリン受容体抗体 / 主要免疫原性領域 / 保護抗体 / 免疫グロブリン療法 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、アセチルコリン受容体(AChR)抗体陽性重症筋無力症(MG)患者の治療法で、主要免疫原性領域(MIR)を標的とした免疫グロブリン療法を開発することである。本研究では、その前段階で動物実験でその実用性を検討した。 MG患者の80%以上が神経筋接合部シナプス後膜上のAChRに対する自己抗体を産生しており、以下の2つの作用機序により、1)AChRに結合した自己抗体の補体依存性細胞傷害(CDC)活性、及び、2)抗体の架橋によるAChRの細胞内取り込み(Down modulation)活性によって、AChRの数が減少する。その結果、神経伝達物質アセチルコリンのシグナルが十分に筋肉に伝わらず筋力の低下が起こり、発症することが知られている。実験的自己免疫性症重症筋無力症(EAMG)ラットは、ヒトMGと同じく、AChR抗体と補体の作用により運動終板が破壊される機序を有する動物モデルである。今回は、ヒトと動物の共通のMIRに対するモノクロナル抗体の補体結合部位を取り除いた保護抗体を作製し、その抗体による疾患移送、いわゆる受動免疫が予防できるかをin vivo動物実験で検討した。方法は、ラットMGを惹起する病原性モノクロナル抗体mAb35のヒトキメラ抗体を用いて、in vivoでの受動免疫を行った。その結果、今回試したヒトキメラ抗体もmAb35と同じく、AChRのMIRの部位に補体介在に膜破壊を生じさせ、四肢の麻痺を起こすことが分かった。また、ヒトキメラ抗体の糖鎖欠損変異体も同様に補体介在に膜破壊を生じさせ、四肢の麻痺を起こすことが分かった。残念ながら、今回の動物実験では、補体による破壊を生じさせないmAb35変異体抗体を作成することが出来なかった。私達は、1)の機序がMG発症に最も重要と考えており、今後も、補体活性を起こさせないMIR抗体を検討して行きたい。
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