研究課題/領域番号 |
26461304
|
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
山崎 恒夫 群馬大学, 保健学研究科, 教授 (80200658)
|
研究分担者 |
牧岡 幸樹 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (10420176)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 顆粒空胞変性 / 神経原線維変化 / タウ / シアル化 |
研究実績の概要 |
我々は顆粒空胞変性ならびに変性神経突起の形成と機能の解明を,主として蛋白分解系に注目して試みてきた。細胞内蛋白分解系にはユビキチンープロテアソーム系とオートファジーーライソゾーム系の2種類が知られているが,両者に共通するKey蛋白にTom1が知られている。そこで,今回我々はアルツハイマー病脳切片を用いた抗Tom1抗体による免疫組織化学的検討を試みた。その結果,①変性神経突起,parasomatic granules,ならびに神経原線維変化にTom1陽性の反応を観察した。②変性神経突起において,Tom1はユビキチン,ライソゾーム関連蛋白,Tom1関連蛋白(Tollip, myosinVI)と共局在していた。これらの結果はアルツハイマー病における蛋白分解系にTom1が重要な働きをしていることを意味している。 一方,我々は蛋白分解における糖鎖付加の役割を研究する目的で,アルツハイマー病脳切片を用いた,抗シアル酸抗体による免疫組織化学染色を行った。その結果,神経原線維変化,顆粒空胞変性,変性神経突起が強くシアル化していることが判明した。この高シアル化はLewy小体,グリア細胞質封入体,Bunina小体などの他の異常構造物には認められず,リン酸化タウと共局在していた。これらの事実は,リン酸化タウのシアル化が,タウ関連異常構造物の形成・分解に関連している可能性を示唆していると思われる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
顆粒空胞変性ならびに変性神経突起などの病理構造物が蛋白分解系の異常と関連している多くの証左を積み重ねることができ,順調に論文化することができている。一方で,当初の計画の生化学的研究がまだ不十分であり,最終年度はこの点に力点をおきたい。
|
今後の研究の推進方策 |
さらに,顆粒空胞変性と蛋白分解系の関連性をアルツハイマー病を中心に証拠づけて行きたい。形態学的研究は概ね順調であり,さらなるデータの蓄積を重ねたい。一方,試みているものの生化学的研究はまだ十分に論文成果に結実しておらず,最終年度はこの点に力を置きたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
一部消耗品(輸入品)の納入予定期日が年度をまたぐ可能性が生じたために,発注を次年度に行うこととしたため。
|
次年度使用額の使用計画 |
助成金は,抗体,培養器具,試薬などの消耗品の購入と論文の英文校正費などの成果発表に使用する予定である。
|