研究課題/領域番号 |
26461306
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
山本 達也 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50375755)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 視床下核脳深部刺激療法(STN-DBS) / 高位排尿中枢 / 細胞外電位 / 神経伝達物質 / パーキンソン病モデルラット |
研究実績の概要 |
進行期パーキンソン病患者に施行される視床下核脳深部刺激両方(STN-DBS)は運動症状を劇的に改善させるが、同じく進行期パーキンソン病患者で問題になる下部尿路障害への影響は不明である。これまでの研究からSTN-DBSは高位排尿中枢の活動に影響を与えていると推察されているが、高位排尿中枢の中でも前頭葉内側部が重要と考えられている。我々は正常SDラット、パーキンソン病モデルラットを用いてSTN-DBSによる前頭葉内側部での神経活動(細胞外電位)、神経伝達物質の変化を測定した。正常ラットを麻酔下で固定器の固定し、視床下核に電極を刺入し前頭葉内側部での細胞外電位測定(n=5)、マイクロダイアリシス法による細胞外液採取・高速液体クロマトグラフィーによる神経伝達物質の測定(n=5)を行った。前頭葉内側部での細胞外電位・神経伝達物質測定はSTN-DBS刺激前、刺激中、刺激後の各々で行った。細胞外電位はlow pass filterをかけ局所電場電位(local field potential)のスペクトル解析を行い、STN-DBSにより0-150Hzのどの周波数帯のパワーも刺激前に比べ、刺激中、刺激後で低下していた。神経伝達物質はカテコラミンを測定し刺激前に比べ、刺激中、刺激後とも低下を認めた。さらに6-OHDA(6-hydroxy dopamine)を片側内側前脳束に注入しパーキンソン病モデルラットを作成し正常ラットと同様の実験を行っている。細胞外電位測定(n=2)では正常ラットと同様の結果を認め、どの周波数帯のパワーも正常ラットより大きかった。カテコラミンはL-DOPA以外は検出感度以下であり、ドパミン神経障害による前頭葉内側部カテコラミン低下が示唆された。今後例数を増やし解析する予定である。本研究はSTN-DBSの高位排尿中枢への影響を明らかにし、新たな治療法開発に寄与する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は高位排尿中枢における細胞外電位記録、神経伝達物質測定が主な目的であるが、昨年度までに正常ラットでの測定が終了し、本年度はパーキンソン病モデルラットでの測定が継続中であるが、モデル作成・測定とも概ね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度もパーキンソン病モデルラットを用いて前頭葉内側部の細胞外電位記録、神経伝物質測定を麻酔下で行う予定である。パーキンソン病モデルラット作成に3-4週を要するので、モデル作成と実験を効率よく行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度は本研究計画作成時に想定したよりも多く国際会議に出席することになり、十分な予算が必要であったが、予想より旅費が安価ですんだため結果的に残金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
本実験継続に必要な備品(電極、カテーテル、試薬など)購入に使用する予定である。
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