研究課題
進行性核上性麻痺および皮質基底核変性症は脳内に異常リン酸化タウ蛋白が蓄積し、進行性の神経脱落をきたす難治性神経変性疾患であり、運動障害および認知機能低下をきたす。本研究では、これらの疾患の糖代謝や脳血流画像を用いて空間的標準化と主成分分析を行い、ネットワーク異常パターンの抽出を行い、その妥当性を検討した。糖代謝PET画像を用いて、進行性核上性麻痺13例及び皮質基底核症候群12例と健常者19名を対象として、疾患群と健常群を最も良く分離できる差異を見いだし、それぞれの疾患特異的共分散パターンの抽出を行った。進行性核上性麻痺においては対称性の皮質基底核変性症においては非対称性の前頭葉、中脳被蓋、視床での相対的代謝低下が特徴であった。それぞれのパターンを用いて数値化(topographic profile rating)を行い、それぞれの疾患得意的共分散パターンの点数が該当する疾患で3群間で有意に高い事が確認できた。それぞれの疾患特異的共分散スコアは進行性核上性麻痺においてのみ、mini mental state examinantionで評価される認知機能と関連することが分かった。糖代謝画像を用いて作成された本パターンを用いて、別に用意した脳血流SPECT画像(健常者17名、進行性核上性麻痺17例、皮質基底核症候群16例、多系統萎縮症31例、パーキンソン病112例)を用いて妥当性を検討した。それぞれの疾患得意的共分散パターンは、群間の重なりはあったものの、その他のパーキンソン症候群より有意に高値であった。糖代謝画像を用いて作成された疾患特異的共分散パターンはタウオパチーにおける診断精度の向上に寄与する可能性がある。進行性核上性麻痺におけるタウイメージング研究の成果は登校中であり、糖代謝・脳血流画像研究は世界神経学会において発表し、投稿準備中である。
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