研究課題
神経変性疾患のさまざまな症状の発症機序や病態生理を明らかにするために、神経変性疾患において神経可塑性変化がどのように変化しているか検討を行った。非侵襲的に大脳皮質の可塑性変化を誘導する反復磁気刺激法、特に4連発刺激法を用いた。本年度は、まず健常者での可塑性変化に及ぼす影響について検討を加えた。4連発刺激法が単純な筋電図以外の運動タスクに及ぼす影響を分析した。従来の反復磁気刺激法による可塑性誘導には個人間変動が大きく、近年の報告では検査をうけたもののうち半数にしか予測された効果が誘導されないという報告がある。このため、今回の研究に用いる新しい反復磁気刺激法の4連発刺激法での可塑性が誘導される割合を明らかにした。その結果、十分研究に用いることが可能な個人間変動であろうと考えられた。この結果を学会で発表し論文の準備中である。また、健常者においてドーパミン作用薬を内服したときの可塑性変化を研究分担者および連携研究者の施設において検討した。このことにより、健常人におけるドーパミンと可塑性の関係を明らかにして、学会に発表する予定である。これらの健常人での結果をふまえて、ドーパミンが欠乏しているパーキンソン病において神経可塑性を検査開始している。まず、パーキンソン病の運動野内の興奮調整の異常を明らかにした。さらに、パーキンソン病の症状のオンオフと可塑性との関係を解明中である。
2: おおむね順調に進展している
新しい被験者の公募は行っていなかったが、今後の研究の基盤になるための実験準備および研究は進んでおり、進行状況はおおむね順調である。
さらに研究の推進を行うために研究室の環境をさらに整える。健常者における反復磁気刺激による可塑性変化の特徴およびドーパミン作用薬による可塑性変化の知見をふまえ、今後は神経疾患に広く応用していく。特に、ドーパミンが欠乏しているパーキンソン病において神経可塑性の検査を進めていき神経症状、および治療薬として内服している抗パーキンソン病薬の種類との関係を明らかにしていく。
研究者の異動のため被験者の数が予定よりもすくなく、謝金が予定よりも使用されなかった。
来年度は予定の被験者数に達するために謝金を使用する予定である。また、神経変性疾患の症状を客観的に評価するため、コンピューターでのタスクでの評価を加えながら可塑性と症状との対応を図る予定である。そのためのコンピューターソフトが必要となる。また、分析用のソフトも必要である。引き続いて検査に要する電極などの消耗品も購入する予定である。
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J Neurosci.
巻: 35 ページ: 4813-23
10.1523/JNEUROSCI.3761-14.2015.
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巻: in press ページ: in press