研究課題
神経変性疾患の多彩な症状の発生機序は未だ不明なものが多く、病状の評価法および治療法も未だ十分ではない。近年、神経変性疾患の動物モデルでは、神経シナプスの可塑性が異常と報告されてきており、神経可塑性という観点で神経変性疾患の病態を捉えることが可能ではないかと提唱されてきている。しかし、ヒトにおける神経可塑性の機能の詳細はまだ明らかではない。また、どのような可塑性誘導法を用いた検査が一番適しているかも明らかではない。そこで本研究では、ヒトの大脳の可塑性機能の詳細を調べるため、反復磁気刺激法を用いた研究をおこなってきた。特に、反復刺激法の一種である不均一に4発の磁気刺激を反復して与える方法(4連発磁気刺激法)を用いて運動野の可塑性について詳細に検討をすすめた。本年度は、これまで報告されている種々の反復磁気刺激法では被験者間の効果のばらつきが大きいことがしられ近年報告が相次いでいることを踏まえ、本研究で使用する新しい反復磁気刺激法の4連発磁気刺激法による長期増強誘導の被験者間でのばらつきを明らかにした。特に神経変性疾患に応用することを踏まえ、高齢健常者における長期増強誘導の個人差について注目して検討した。結果、若年者にくらべて被験者間の効果出現率が低下することを明らかにした。しかし、他の方法による長期増強効果にくらべて効果出現率は高く、変性疾患における長期増強効果の変化の検査に用いることに適した方法であると考えられた。このことを論文にまとめて国際誌に投稿し採択された。また、健常者およびパーキンソン病における抗パーキンソン病薬での可塑性変化について引き続き検討を重ねた。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)
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