我々はこれまてアルツハイマー病(AD)、パーキンソン病、多系統萎縮症患者の剖検脳を用いて、水チャネル-アクアポリン(AQP)が有意に変化することを確認し、病態との関連性について報告してきた。本年度はADでAQP4とfunctional complexを呈するグルタミン酸トランスポーターGLT-1の解析をさらに進め、その成果をNeuropathology and Applied Neurobiology誌に報告した。おおまかな概要は前年度の研究実績の通りであり、これらの水代謝異常およびグルタミン酸代謝異常を示唆する所見は、AD脳での新規治療戦略に寄与する知見と考えられる。 近年脳内リンパ流を制御するGlymphatic system仮説において、AQP4がその中心的役割を担うことが判明しつつある。ADにおいてはGlymphatic system破綻がAβ蓄積に関与するという基礎的な知見が報告されており、これまでの我々のAQP研究結果や考察を支持する研究と考えられる。
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