研究課題
骨格筋萎縮を促進する分子機構として近年注目されているMyostatinは、TGF-βファミリーに 属する筋細胞増殖抑制サイトカインである。標的細胞上のactvin receptor Type IIB(ACVR2B)と結合後、細胞内ドメインのリン酸化を通じて、MyoDやMyogeninのような筋増殖因子の遺伝子 転写活性を抑制する。Myostatinは骨格筋で産生され、萎縮筋線維に発現するとの既報告はあるが、詳細は不明で、骨格筋内でのACVR2Bとの関連性も明確ではない。申請者らは、予備実験として、炎症性ミオパチーである皮膚筋炎の生検筋を用い①MyostatinとACVR2Bが筋束周囲の萎縮筋線維の細胞質内に発現すること。②両者の局在は一致しているが、それらは、再生過程にある筋線維(MHC-d陽性)ではなく、筋萎縮が完了した線維で発現していることを見いだした。さらに、申請者たちはCardiotoxin (CTX)損傷筋再生モデルマウスを用い、①Myostatinは、損傷1週間後では再生過程にある筋線維の筋核にのみ発現し、ACVR2Bは全く発現していないこと。②Myostatinは、損傷3週間後では、筋再生を終えた萎縮筋線維の約25%において筋細胞質に発現していたが、同線維はACVR2B陽性とは限らず、Myostatin/ACVR2B double positive線維は全萎縮筋線維の10%に過ぎなかった。Myostatinは、筋再生完了後の萎縮筋線維の一部で発現しているが、同線維は、ACVR2B陽性とは限らず両者の発現は解離していた。以上のことから、 Myostatin/ACVR2B double positive筋線維こそが、筋肥大が阻害された萎縮筋線維の本体であり、筋萎縮の病態把握には両者の検討が必要であると推測した。
2: おおむね順調に進展している
ヒト、マウスの血清中の可溶性Myostatin, ACVR2Bの検討について:当初は市販のELISA Kitの使用を計画していた。その後の検討にて既存のものは測定結果がばらつくことが判明したため、研究室で新たなELISA系を構築し、現在精度管理中である。検体数も100近くあり、今年度中に測定を終了するのが困難である。その他の生検筋を用いた病理学的検討や、リハビリテーション効果の検討は終了した。
ほぼ、ELISA系が完成したので、ヒト、マウスの血清中の可溶性Myostatin, ACVR2Bを検討開始した。
ヒト、マウスの血清中の可溶性Myostatin, ACVR2Bの検討について:当初は市販のELISA Kitの使用を計画していた。その後の検討にて既存のものは測定結果がばらつくことが判明したため、研究室で新たなELISA系を構築し、現在精度管理中である。検体数も100近くあり、今年度中に測定を終了するのが困難であったたため、延長した。
現在、ELISA系を樹立したので、測定を随時施行中である。
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