• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実施状況報告書

肝臓―膵β細胞間神経ネットワークの生理的意義の解明

研究課題

研究課題/領域番号 26461324
研究機関東北大学

研究代表者

今井 淳太  東北大学, 大学病院, 講師 (80431500)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード糖尿病 / 膵β細胞 / インスリン / 迷走神経
研究実績の概要

本研究では研究代表者が明らかにした肝臓ー膵β細胞間神経ネットワークにおいて、膵迷走神経シグナルから膵β細胞増殖にいたる細胞内シグナル伝達経路を明らかにすることを目的とした。研究代表者はすでにアセチルコリンを含む迷走神経由来因子を作用させることにより膵β細胞増殖が亢進することを見出している。これらの迷走神経由来因子を作用させた単離膵島では、細胞増殖において重要な働きを有する細胞周期関連の遺伝子の発現が有意に増加し、BrdU陽性を示す増殖細胞が増加した。さらにこの現象はマウスin vivoにおいて臓器間神経ネットワークにより膵β細胞が増殖する際にも認められる。本研究では迷走神経由来因子のうち、アセチルコリンに着目して検討を進めた。アセチルコリンは膵β細胞においてムスカリン3(M3)受容体を介してインスリン分泌を亢進することが知られている。そこで、アセチルコリンによる膵β細胞増殖におけるM3受容体の関与を検討するために、M3受容体ノックアウトマウスにおいて臓器間神経ネットワークを"ON"にした際の膵β細胞増殖効果を検討した。その結果、M3受容体ノックアウトマウスでは臓器間神経ネットワークによる膵β細胞増殖が起こりにくい傾向があることが明らかになった。さらにM3受容体ノックアウトマウスから単離した膵島にアセチルコリンを含む迷走神経由来因子を作用させたところ、細胞増殖において重要な働きを有する細胞周期関連遺伝子の発現上昇やBrdU陽性細胞の増加が有意に抑制されることが明らかになった。今後さらに、臓器間神経ネットワークを"ON"にした際にin vivoにおいて膵β細胞に対する迷走神経由来因子の作用が増加しているのかを検討する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

迷走神経由来因子による膵β細胞増殖作用において少なくとも一部はアセチルコリンによるM3受容体を介した効果が関与していることが明らかになったことから当初の予定通りに研究が進展しているものと考える。

今後の研究の推進方策

今後臓器間神経ネットワークを"ON"にした際にin vivoにおいて膵β細胞に対する迷走神経由来因子の作用が増加しているのかを検討する予定である。また、妊娠中、膵部分切除後、新生児期、あるいは薬理学的な膵傷害後などの膵β細胞増殖が亢進する状態、反対に廊下などの膵β細胞増殖が低下する状態における膵臓ー膵β細胞間神経ネットワークの関与を検討することで、この神経ネットワークの生理的な意義を明らかにするための検討を開始する予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2014 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Glycemic control in diabetic patients with impaired endogenous insulin secretory capacity is vulnerable after a natural disaster: study of great East Japan earthquake.2014

    • 著者名/発表者名
      Tanaka M, Imai J, Satoh M, Hashimoto T, Izumi T, Sawada S, Uno K, Hasegawa Y, Kaneko K, Yamada T, Ishigaki Y, Imai Y, Katagiri H
    • 雑誌名

      Diabetes Care

      巻: 37 ページ: e212-e213

    • DOI

      10.2337/dc14-1479

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Type B Insulin Resistance Syndrome as an H. Pylori-Associated Autoimmune Disease (Review)2014

    • 著者名/発表者名
      Imai J, Yamada T, Satoh J, Katagiri H
    • 雑誌名

      Journal of Endocrinology, Diabetes & Obesity

      巻: 2 ページ: 1026-1032

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Simultaneous copy number losses within multiple subtelomeric regions in early-onset type 2 diabetes mellitus.2014

    • 著者名/発表者名
      Kodama S, Yamada T, Imai J, Sawada S, Takahashi K, Tsukita S, Kaneko K, Uno K, Ishigaki Y, Oka Y, Katagiri H
    • 雑誌名

      PloS one

      巻: 9 ページ: e88602

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0088602

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 肝臓からのシグナルによる膵島制御機構2014

    • 著者名/発表者名
      今井淳太、片桐秀樹
    • 雑誌名

      内分泌・糖尿病・代謝内科

      巻: 39(2) ページ: 139-145

    • 査読あり
  • [学会発表] 迷走神経シグナルによる膵β細胞制御機構2014

    • 著者名/発表者名
      今井淳太、片桐秀樹
    • 学会等名
      第87回 日本生化学会
    • 発表場所
      国立京都国際会館 (京都市)
    • 年月日
      2014-10-15 – 2014-10-18
    • 招待講演
  • [学会発表] 神経シグナルと膵β細胞量の調節2014

    • 著者名/発表者名
      今井淳太、片桐秀樹
    • 学会等名
      第87回 日本内分泌学会
    • 発表場所
      福岡国際会議場 (福岡市)
    • 年月日
      2014-04-24 – 2014-04-26
    • 招待講演
  • [備考] 東北大学大学院医学系研究科糖尿病代謝内科学分野

    • URL

      http://www.diabetes.med.tohoku.ac.jp/

URL: 

公開日: 2016-05-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi