研究課題
ミトコンドリア糖尿病2名、脂肪萎縮性糖尿病患者2名を含む糖尿病患者から、皮膚由来の線維芽細胞へ山中4因子を発現するレトロ(レンチ)ウイルスベクターを感染させて疾患特異的iPS細胞を樹立した。ミトコンドリア糖尿病患者由来iPS細胞ではミトコンドリア遺伝子A3243G変異の比率(ヘテロプラスミー)が感度以下または大幅に増加した細胞が得られた。変異比率は、いったん樹立された後は継代や分化によってもそれ以上大きく変化することはなかった。また、 変異比率の多少による、未分化維持、三胚葉系への分化、膵内分泌細胞への分化に影響は認められなかった。ミトコンドリアA3243G変異は、ロイシンtRNAの付加異常を起こすが、呼吸鎖複合体蛋白の低下を変異比率の高いiPSクローンで認めた。異なるセイピン遺伝子変異を有する先天性全身性脂肪萎縮症患者由来iPS細胞を樹立した。患者由来の未分化iPS細胞とそれに由来する分化細胞では、対照の健常者由来細胞に比べて著しく脂肪滴の蓄積が少なく患者の病態を反映していた。また、正常セイピン遺伝子を強制発現することにより脂肪蓄積能は回復した。小胞体や脂肪滴に存在するペリリピンの細胞内局在が、疾患iPS細胞では細胞質全体へ変化していた。免疫沈降実験において、変異セイピンは正常セイピン蛋白が有するペリリピンとの結合ができないことが示された。病因遺伝子セイピンがペリリピンの局在を規定し、脂肪滴の形成や維持を担っていることが示唆された。
すべて 2017
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Neuropeptides.
巻: 65 ページ: 10-20
10.1016/j.npep.2017.04.004.