研究課題
グレリン脂肪酸修飾機構の検討に関しては、蛍光ラベルの脂肪酸を用いて、我々の樹立したグレリン分泌細胞株MGN3-1細胞への脂肪酸取込みを検討した。対象細胞としては、β細胞株であるMIN6細胞を用いた。脂肪酸取込みを、蛍光ラベルの脂肪酸で検討したところ、時間依存的に、蛍光強度の増強が確認され、特に長鎖脂肪酸の取込みがMGN3-1細胞においてMIN6細胞と比較して高値であった。また、質量分析によって、一部の細胞内脂肪酸プロファイルに差異があることを見いだした。現在、遺伝子操作等によって、上記事象の機序について検討を行いつつある。グレリン分泌調節シグナルに関しては、まず、G蛋白共役型受容体を介した細胞内シグナルを検討することとし、αScreenを用いた細胞内cAMP評価系および、fura4を用いた細胞内Ca濃度評価系の確立を行った。cAMPに関しては、まずforskolinをポジコンとして検討を行い、cAMPの上昇が実際のグレリン分泌を上昇させることを確認した。次に、すでにグレリン分泌を刺激することを確認しているβ刺激薬イソプロテレノールを添加したところ、細胞内cAMPが上昇することを確認した。また、forskolinと化合物を同時添加することで、Giを介したcAMP抑制の評価系の樹立も同時に行っている。一方で、Caに関しては、これまで報告してきたオキシトシンを添加すると細胞内Caが上昇することを確認した。
2: おおむね順調に進展している
脂肪酸動態については、グレリン細胞とMIN6細胞で差があることを見いだしており、その機序についても一部ヒントをつかみつつあり、順調に進行していると考えている。分泌調節シグナルについては、現状では、cAMPとCa濃度の評価にとどまってはいるが、既知物質に関して、シグナルの誘導を確認できており、系の樹立に成功している。
今後、細胞内脂質の検討に関しては、脂質分析を得意とする研究者との共同研究が望ましいとは考えている。化合物のスクリーニングに関しては、現状でも可能になりつつあるが、化合物入手のコストが問題であり、入手元につき検討が必要である。
一部、今年度中に予定していた実験が次年度へ繰り越しになったため。
試薬代を中心とした物品代として使用する予定である。
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