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2015 年度 実施状況報告書

肥満治療を目指したグレリン活性制御法の探索

研究課題

研究課題/領域番号 26461331
研究機関和歌山県立医科大学

研究代表者

岩倉 浩  和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (20378615)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードグレリン / 細胞株 / 分泌調節 / 生合成
研究実績の概要

グレリン脂肪酸修飾機構の検討に関しては、蛍光ラベルの脂肪酸を用いて、グレリン分泌細胞株MGN3-1細胞への長鎖脂肪酸取込みが、MIN6細胞と比較して高値であることをすでに見いだしていた。DNAマイクロアレイによって、両者の細胞での遺伝子発現比較を網羅的に行うことで、脂肪酸代謝に関わる遺伝子、long-chain fatty acyl-CoA synthetase family member 1 (Acsl1)がMGN3-1細胞で高発現しており、このことがMGN3-1細胞の高脂肪酸取込み能と、アシル化グレリンの効率的な産生に少なくとも一部関与していることを見いだした。
グレリン分泌調節シグナルに関しては、昨年度までに樹立したαScreenを用いた細胞内cAMP評価系及びfura4を用いた細胞内Ca濃度評価系をもちいて、MGN3-1細胞に高発現するG蛋白共役型受容体(GPCR)についての評価を行った。MGN3-1細胞に発現するGPCR発現レベルをRNAシークエンスによって網羅的に同定し、高発現受容体のうちリガンド入手可能なものについての検討したところ、既知の受容体に加えて、プロスタグランジンE2がEP4受容体を介して、また、トリプトファンがGPR142を介してグレリン分泌を有意に刺激することを新たに見いだした。
グレリン細胞単離に関しては、グレリンプロモーターCreERT2マウスを新たに開発し、Creレポーターマウスと交配することでグレリン細胞を蛍光ラベルし、FACSで単離することに成功した。単離したグレリン細胞で、RNAシークエンス、定量PCRを実施し、MGN3-1細胞で高発現していた受容体が、単離グレリン細胞にも発現していることを確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

脂肪酸代謝に関しては、グレリン細胞での脂肪酸とりこみとアシル化グレリン産生に関わる遺伝子ACSL1を新たに同定した。また、細胞内シグナルに関しても、GPCRシグナルについては、細胞を用いたcAMP、Caアッセイ系の構築、細胞におけるGPCR発現レベルからのアプローチで新たにグレリン分泌に関わる受容体を明らかにするなど順調に経過した。

今後の研究の推進方策

化合物のスクリーニングに関しては、GPCRシグナルに関しては現在でも可能であるが、受容体発現の網羅的把握からのアプローチのほうがより有効であると現在は考えている。GPCR以外のシグナル経路についてはさらに検討が必要である。また、細胞レベルで見いだした知見に関しては、動物モデル等を用いたin vivoでの確認が必要であると考えている。

次年度使用額が生じた理由

一部、今年度中に予定していた実験が次年度へ繰り越しになったため。

次年度使用額の使用計画

試薬代を中心とした物品代として使用する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] High Incorporation of Long-Chain Fatty Acids Contributes to the Efficient Production of Acylated Ghrelin in Ghrelin-producing Cells.2016

    • 著者名/発表者名
      Bando M, Iwakura H, Koyama H, Hosoda H, Shigematsu Y, Ariyasu H, Akamizu T, Kangawa K, Nakao K.
    • 雑誌名

      FEBS Lett.

      巻: 590 ページ: 992-1001

    • DOI

      10.1002/1873-3468.12132.

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Establishment of Leptin-Responsive Cell Lines from Adult Mouse Hypothalamus.2016

    • 著者名/発表者名
      Iwakura H, Dote K, Bando M, Koyama H, Hosoda K, Kangawa K, Nakao K
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 11 ページ: e0148639

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0148639

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Comprehensive Profiling of GPCR Expression in Ghrelin-producing Cells.2016

    • 著者名/発表者名
      Koyama H, Iwakura H, Dote K, Bando M, Hosoda H, Ariyasu H, Kusakabe T, Son C, Hosoda K, Akamizu T, Kangawa K, Nakao K.
    • 雑誌名

      Endocrinology

      巻: 157 ページ: 692-704

    • DOI

      10.1210/en.2015-1784.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] GPCR発現プロファイル解析に基づく摂食促進ホルモン、グレリン分泌調節機構の解明2015

    • 著者名/発表者名
      小山 博之, 岩倉 浩, 坂東 美佳, 細田 洋司, 細田 公則, 寒川 賢治, 中尾 一和
    • 学会等名
      第36回日本肥満学会総会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場
    • 年月日
      2015-10-03 – 2015-10-03
  • [学会発表] グレリン産生におけるLPSの直接作用の検討2015

    • 著者名/発表者名
      坂東 美佳, 岩倉 浩, 小山 博之, 寒川 賢治, 中尾 一和
    • 学会等名
      第36回日本肥満学会総会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場
    • 年月日
      2015-10-03 – 2015-10-03
  • [学会発表] ベータトロフィンのノックアウトラット開発とその糖脂質代謝調節における意義の解明2015

    • 著者名/発表者名
      泉 諒太, 日下部 徹, 野口 倫生, 岩倉 浩, 小山 博之, 坂東 美佳, 宮澤 崇, 寒川 賢治, 中尾 一和
    • 学会等名
      第36回日本肥満学会総会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場
    • 年月日
      2015-10-03 – 2015-10-03

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公開日: 2017-01-06  

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