研究課題
本年度は、昨年度に引き続き膵臓切片の蛍光プローブを用いた染色条件の検討を引き続き行った。また、膵β細胞量を測定する際には、本プローブの特性上GLP-1受容体(GLP-1R)について知見を得ることは重要である。そのため、本蛍光標識プローブを用いることでGLP-R定量の可能性に対する検討を行った。まずは、GLP-1R発現プラスミドを作製することで、GLP-1Rをタンパク質として得ることを試みた。GLP-1Rの遺伝配列をFLAGあるいはDock標識を含むベクターに乗せ、2種類のプラスミドを作製した。作成プラスミドを用いてタンパク質を作成した。細胞をホモジネートし、遠心分離することで、沈殿物と上澄みに分け回収し、SDS-PAGE-western blottingを行い評価した。FLAG標識、Dock標識どちらのプラスミドを使用した場合にも最初の遠心の際に得られた沈殿物に目的となるタンパク質のバンドが認められた。2回目以降のサンプルにおいてはほぼ認められなかったため、細胞破砕液からの分離は一度の遠心分離で可能であることが分かった。次に蛍光プローブと受容体との結合を定量的に評価するためNative Pageによる評価を試みた。プローブとGLP-1Rを予め結合させた複合体を泳動させ、目的バンドにおける蛍光量を測定することで複合体を定量することが目的である。GLP-1Rは7回膜貫通型の膜タンパク質であることから、SDS-PAGEでは高次構造を失ってしまうためNativePAGEを用いて検討した。その結果、Native Pageでのタンパク質の泳動は確認できたが、目的分子量バンドに蛍光シグナルを観察できなかった。バンドの確認はできているため、蛍光強度が検出限界、もしくは複合体の形成が不全であることが原因であると考えられる。今後複合体形成条件の検討や蛍光以外の標識による検討を継続予定である。
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Bioorg. Med. Chem.
巻: 25 ページ: 1406-1412
10.1016/j.bmc.2016.12.051