研究課題/領域番号 |
26461335
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
阿部 恵 京都大学, 生命科学研究科, 助教 (20568688)
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研究分担者 |
海老原 健 自治医科大学, 医学部, 准教授 (70362514)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | PPARgamma / ラットモデル / 脂肪細胞 / 糖代謝 |
研究実績の概要 |
本研究では、DNA結合領域にC163F変異を有するPPARγ遺伝子ヘテロ変異ラットを用いて、生体におけるPPARγの脂肪細胞分化およびエネルギー代謝調節における臨床的意義を検討している。この遺伝子変異の意義を明らかにするために、昨年度は変異遺伝子を細胞に強制発現させてルシフェラーゼリポーターアッセイを用いて機能低下を明らかにした。本年度はさらにChIPアッセイを行い、実際にリガンド投与下でPPARγがPPARγにより誘導されるLPL遺伝子、ADRP遺伝子のプロモーター領域に結合するか否かを検討し、変異PPARγは結合しないことを明らかにした。昨年度は雄性のPPARγ遺伝子変異ラットを用いて通常食飼育における表現型や代謝パラメータを解析したが、本年は脂肪食負荷を行い検討した。通常食では直接測定およびCTにて解析した脂肪重量は変異ラットにおいて低下を認めたが、高脂肪食負荷では野生型ラットと差を認めなかった。脂肪細胞の大きさを比較すると皮下、精巣周囲、腸管膜のいずれにおいても平均面積は増加したが、大きさの分布は拡大しており、不均一であった。また糖代謝においては、通常食においてみられた耐糖能低下がより明らかになった。ヒトにおいてはPPARγのリガンドである抗糖尿病薬として用いられているチアゾリジン誘導体の作用には性差があることが知られている。雌性のラットも用いて同様の解析を行ったが、雌雄差は認められなかった。また、寒冷刺激下の褐色脂肪細胞の検討を行ったが褐色脂肪量、UCP1遺伝子の発現量にも野生型との差は認められなかった。これらの違いがチアゾリジン誘導体により回復するか否か現在チアゾリジン投与による検討をすすめている。これまでの結果、ラットの生体において脂肪細胞分化、耐糖能の維持には正常PPARγの両アリルの存在が必要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に得られたPPARγ遺伝子ヘテロ変異ラットの結果をもとにさらに白色脂肪細胞、褐色脂肪細胞の解析、脂肪食負荷、チアゾリジン誘導体負荷実験および解析の段階に入っているため。
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今後の研究の推進方策 |
PPARγ遺伝子ヘテロ変異ラットの高脂肪食負荷における脂肪細胞の部位による違いを多角的に検討する。さらに論文執筆や学会発表を行い、研究成果を社会に発信する
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次年度使用額が生じた理由 |
PPARγ遺伝子ヘテロ変異ラット解析系の維持、細胞実験など解析に使用したが少額が使用しきれなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
PPARγ遺伝子ヘテロ変異ラットのチアゾリジン投与実験および解析のために使用する。
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