研究課題
本研究ではDNA結合領域にC163F変異を有するPPARγ遺伝子ヘテロ変異ラットを用いて、生体におけるPPARγの脂肪細胞分化およびエネルギー代謝調節における臨床的意義を検討した。本年度はさらに①褐色脂肪細胞の解析および寒冷刺激試験、②高脂肪食飼育におけるPPARγ遺伝子ヘテロ変異ラットのインスリン抵抗性の増大のメカニズム解析、③高脂肪食飼育におけるPPARγ遺伝子ヘテロ変異ラットの脂肪組織、肝臓、骨格筋におけるPPARγによって誘導される複数の遺伝子Fsp2、Adipoq、 Cd36、Fabp4 、Plin1発現の検討、④PPARγリガンドであるピオグリタゾン投与による表現型の検討などを行い、①褐色脂肪細胞に対するPPARγの転写活性能減弱の影響はほとんどないこと、②肝臓、脂肪細胞(皮下脂肪、精巣周囲脂肪、腸間膜)、骨格筋のどの部位においてもほぼ同様にIRS1とAktのリン酸化は低下しており、特定の部位ではなくすべてのインスリン作用臓器のインスリンシグナルが低下していること、③高脂肪食飼育によって対照ラットは脂肪組織のみにおいてこれらの遺伝子すべてが発現増加したが、PPARγ遺伝子ヘテロ変異ラットでは発現増加が認められないこと、④ピオグリタゾン投与により、空腹時血糖値およびインスリン濃度は低下し、インスリン感受性が改善し、この改善は脂肪細胞数の増加、PPARγ機能回復および肝臓および骨格筋内中性脂肪含有量減少によることを明らかにした。これらの結果を昨年度までの実績に加えて論文化し発表をおこなった。
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Diabetes
巻: 65 ページ: 2954-2965
10.2337/db15-1422