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2015 年度 実施状況報告書

全エクソーム解析による1型糖尿病感受性バリアントの同定

研究課題

研究課題/領域番号 26461344
研究機関国際医療福祉大学

研究代表者

粟田 卓也  国際医療福祉大学, 大学病院, 教授 (40184303)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード1型糖尿病 / バリアント / 変異 / 多型 / 疾患感受性 / エクソーム解析 / 日本人 / 遺伝
研究実績の概要

日本人1型糖尿病感受性遺伝子として、HLAクラスII遺伝子以外に、複数の非HLA遺伝子が報告されているが、他にも多くの非HLA感受性遺伝子が存在していると考えられる。
今回の研究では、全ゲノムエクソーム解析により、日本人1型糖尿病と関連する低頻度バリアントの検索を施行している。昨年度は、プールDNAについての全ゲノムエクソームデータの解析を施行したが、プールDNAを使用したことに起因する問題点も明らかになり、本年度は個別症例の全ゲノムエクソーム解析を以下のように行った。
まず、発症において遺伝要因の関与が強いと考えられる1型糖尿病症例および非HLA遺伝子の強い関与が想定される1型糖尿病症例(抵抗性のHLAクラスⅡハプロタイプを保有)を選別した。最終的に兄弟発症の2例を含む20例の1型糖尿病症例と1例の非糖尿病家族の全ゲノムエクソーム解析を施行した。各例について、4万個程度のバリアントが検出されたが、その中でいくつかの条件でさらに選別を行った。すなわち、①ナンセンス変異、フレームシフト変異、ミスセンス変異、②1000ゲノムデータベースに報告されていないかアレル頻度が0.05未満、③変異のホモが1型糖尿病症例に存在する、④in silicoの解析によりコードする蛋白の機能低下が予想され、⑤コードする蛋白が1型糖尿病の発症に関与し得ると考えられること、等の条件により、最終的に10個のバリアントを今回は選別し、多数例での関連解析を施行している。
現在、約1200例の解析を行っているが、4個のバリアントにおいて、変異のホモが1型糖尿病群においてのみ有意に集積し、その中の1個のバリアントは1型糖尿病と有意に関連していた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今回、個別DNAの全ゲノムエクソーム解析を行い、いくつかの低頻度の1型糖尿病感受性バリアントの候補を検出した。特に、1つのバリアントは1型糖尿病との有意な関連も認めている。このバリアントはアジア人種(特に日本人)に特異的に見られ、自然免疫に重要な遺伝子(これまでに白人1型糖尿病感受性遺伝子として未報告)のバリアントであった(詳細は未発表のため省く)。
今後、より多数例でのこのバリアントとの関連の確認を行っている状況である。

今後の研究の推進方策

予定通り最終年度である今年度(平成28年度)で終了し、得られた感受性バリアント(候補)について論文発表を行う予定である。
今後の発展的な課題、すなわちバリアントの機能解析、さらにこれらの遺伝子(およびファミリー遺伝子)の変異スクリーニングと1型糖尿病での関連解析などについては新たな研究課題として申請する予定である。

次年度使用額が生じた理由

昨年度とは研究のストラテジーを変更し、個別の症例の全ゲノムエクソーム解析を行い10個のバリアントについて多数例での関連解析を行っているが、多数例での解析に時間を要しているため、少額ではあるが次年度使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

昨年度助成金の次年度使用額と今年度の助成金は、追加で行う多数例での解析に必要な費用の一部と、学会出張経費、論文発表経費などに充当する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] 1型糖尿病に関連した遺伝子研究の歴史と最近の流れ2015

    • 著者名/発表者名
      粟田卓也
    • 雑誌名

      月刊糖尿病

      巻: 7 ページ: 76-86

  • [雑誌論文] 緩徐進行1型糖尿病の病態とそれを考慮した治療介入2015

    • 著者名/発表者名
      粟田卓也
    • 雑誌名

      プラクティス

      巻: 32 ページ: 668-677

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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