研究課題/領域番号 |
26461346
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
佐々木 敬 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (90205849)
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研究分担者 |
藤本 啓 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (40372974)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | Schwann細胞 / ブドウ糖応答性インスリン分泌 / gap junction / ゲノム編集 |
研究実績の概要 |
昨年度までの検討にてβ細胞を神経堤由来シュワン細胞とともに共培養するとブドウ糖応答性インスリン分泌(glucose-stimulated insulin secretion; GSIS)が亢進した。今年度は、この現象をより正確に検証することとした。 β細胞(Min6)を単独で様々な濃度で培養を行うときに同じ細胞密度の一細胞あたりにおけるGSIS能を決定する方法を確立した。Min6細胞を1wellあたりの細胞数を一定にしたときの培地中インスリン濃度をELISA法で測定し、Min6一細胞あたりへの換算はRealtime PCRにて定量したGlut2mRNA量により換算(標準化)した。その結果、まずMin6単独培養では細胞密度が増すとGSISは低下する傾向が観られた。またシュワン細胞株、IMS32細胞と共培養した。これによるとMin6一細胞あたりのGSISは、同じMin6細胞数であってもIMS32との共培養により亢進する傾向を示した(有意差は確認中)。さらに間葉系細胞由来の線維芽細胞NIH3T3細胞とも共培養し同様の結果であった。 この効果は、Min6がIMS32から分泌される物質により影響を受けたためかどうかを知るため、IMS32のconditioned mediumをMin6の培地へ添加したところ逆にGSISは抑制され、これは共培養のGSIS亢進メカニズムでないことが判明した。さらに細胞間の接触による情報伝達装置としてのgap junctionにつき、その構成分子であるCx36のsiRNAによるknock downを試みた。その結果、GSISの低下傾向が観られたが、有意差が得られなかった。これはsiRNA導入時の操作の影響が強く、統計学的な有意差を持った明確な結果は得られなかった可能性がある。そこで次年度に向け、ゲノム編集技術を応用した方法を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初、Schwann細胞の機能として予想していた抗酸化作用はメインでは無いと考えるような実験結果が出始めており、むしろ別の機能、特にgap junctionを介した細胞間の情報伝達の重要性に研究内容がシフトしたため。
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今後の研究の推進方策 |
培養下ではあるが、樹立細胞および単離シュワン細胞のゲノム編集を行ってgap junctionの関与を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の中心であったSchwann細胞の機能について、計画が変更された。
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次年度使用額の使用計画 |
上記に伴いin vivo実験の段階に進まなかったこと、ならびにさらにゲノム編集を含むin vitro解析が次年度に必要になったことなどから、次年度使用額が生じた。さらに期間延長も考慮中である。
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