免疫寛容破綻の機序解明とその制御による１型糖尿病発症修飾への応用

2016 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 26461349
• 研究機関: 近畿大学
• 研究代表者: 能宗 伸輔 近畿大学, 医学部, 講師 (90460849)
• 研究分担者: 池上 博司 近畿大学, 医学部, 教授 (20221062) ; 川畑 由美子 近畿大学, 医学部, 准教授 (80423185) ; 馬場谷 成 近畿大学, 医学部, 講師 (10449837) ; 廣峰 義久 近畿大学, 医学部, 講師 (30460851)
• 研究期間 (年度): 2014-04-01 – 2017-03-31
• キーワード: １型糖尿病 / 免疫寛容

研究実績の概要

1) 臓器特異的自己免疫疾患において、標的臓器に発現する自己抗原に対する免疫寛容破綻に関与する遺伝因子を特定する目的で、膵島特異的自己免疫疾患である１型糖尿病、甲状腺自己免疫疾患であるバセドウ病、毛包特異的自己免疫疾患である円形脱毛症を対象に関連解析をおこなった。これまで円形脱毛症患者においてバセドウ病が最も合併頻度の高い自己免疫疾患であることを報告してきたが、バセドウ病患者においても高率に円形脱毛症が合併することを新たに報告した。さらにnon-HLA遺伝子として、TSHRとCTLA4は、バセドウ病とは有意に関連を示すが、円形脱毛症、およびTRAｂ陽性円形脱毛症に限定しても関連を示さないことから、両遺伝子は甲状腺自己免疫と関連を示し、円形脱毛症におけるTRAｂ陽性化またはバセドウ病発症と明らかな関与はしていないことが示唆された（Taketomo Y, Noso S et al. Hum Immunol 78:185-189, 2017）。
2) 自己抗原としてのインスリンに対する免疫寛容誘導を制御する転写因子Mafaの胸腺特異的過剰発現１型糖尿病モデルマウスを２ライン確立し、自然発症累積糖尿病発症率を追跡中である。また10週齢における膵組織を用いて膵島炎スコアの比較検討をおこなう。さらに胸腺におけるMafa、およびインスリン発現比較をおこなうべく胸腺におけるTotalRNA抽出作業をおこなっている。
3)膵β細胞破壊に関わる新規遺伝因子の同定のため、１型糖尿病濃厚発症家系の罹患者および非罹患者のwhole exome sequencingをおこない、原因変異を同定し発表した（Noso S et al. Immunology of Diabetes, 15th International Congress 2017, San Francisco, CA ）。

研究成果

• [雑誌論文] Common phenotype and different non-HLA genes in Graves' disease and alopecia areata (2017)
  • 著者名/発表者名: Taketomo Y, Noso S, Babaya M, Hiromine Y, Ito H, Kanto K, Niwano F, Oiso N, Kawada A, Kawabata Y, Ikegami H
  • 雑誌名: Hum Immunol 巻: 78 ページ: 185-189
  • DOI: 10.1016/j.humimm.2016.10.019.
  • 査読あり / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] A case of fulminant type 1 diabetes mellitus with a precipitous decrease in pancreatic volume, induced by nivolmab for malignant melanoma: analysis of HLA and CTLA4 porymorphism. (2017)
  • 著者名/発表者名: Ishikawa K, Shono-Saito T, Yamate T, Kai Y, Sakai T, Shimizu F, Yamada Y, Mori H, Noso S, Ikegami H, Kojima H, Tanaka H, Fujiwara S, Hatano Y
  • 雑誌名: Eur J Dermatol 巻: 27 ページ: 184-185
  • DOI: 10.1684/ejd.2016.2923
  • 査読あり
• [雑誌論文] A rare HLA genotype in two siblings with type 1 diabetes in a Japanese family clustered with type 1 diabetes. (2017)
  • 著者名/発表者名: Ina Y, Kawabata Y, Sakamoto R, Sekiguchi N, Ikegami H
  • 雑誌名: J Diabetes Investig 巻: 8 ページ: in press
  • DOI: 10.1111/jdi.12628.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Clinical and Genetic Characteristics of Non-Insulin-Requiring Glutamic Acid Decarboxylase (GAD) Autoantibody-Positive Diabetes: A Nationwide Survey in Japan. (2016)
  • 著者名/発表者名: Yasui J, Kawasaki E, Tanaka S, Awata T, Ikegami H, Imagawa A, Uchigata Y, Osawa H, Kajio H, Kawabata Y, Shimada A, Takahashi K, Yasuda K, Yasuda H, Hanafusa T, Kobayashi T; Japan Diabetes Society Committee on Type 1 Diabetes Mellitus Research.
  • 雑誌名: PLoS One. 巻: 11 ページ: e0155643
  • DOI: 10.1371/journal.pone.0155643.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Immune checkpoint therapy and type 1 diabetes (2016)
  • 著者名/発表者名: Ikegami H, Kawabata y, Noso S
  • 雑誌名: Diabetology International 巻: 7 ページ: 221-227
  • DOI: 10.1007/s13340-016-0276-9
  • 査読あり
• [学会発表] シンポジウム １型糖尿病 update 2017 「１型糖尿病の遺伝素因 update」 (2017)
  • 著者名/発表者名: 能宗伸輔、川畑由美子、池上博司
  • 学会等名: 第60回日本糖尿病学会年次学術集会
  • 発表場所: 名古屋国際会議場（名古屋市）
  • 年月日: 2017-05-19 – 2017-05-19
• [学会発表] 健診受診者および臓器特異的自己免疫疾患患者におけるGAD抗体価の検討ーRIA法とELISA法の比較ー (2017)
  • 著者名/発表者名: 武友保憲、能宗伸輔、馬場谷成、廣峰義久、伊藤裕進、貫戸幸星、當間純子、末吉功治、吉田左和、山本明伸、川畑由美子、池上博司
  • 学会等名: 第60回日本糖尿病学会年次学術集会
  • 発表場所: 名古屋国際会議場（名古屋市）
  • 年月日: 2017-05-18 – 2017-05-18
• [学会発表] Identification of Genetic Variants co-segregated with Islet Autoimmunity in Multiplex Families of Type 1 Diabetes by Genome-wide Exome Analysis (2017)
  • 著者名/発表者名: Noso S, Hosomichi K, Babaya N, Hiromine Y, Ito H, Taketomo Y, Kawabata Y, Ikegami H
  • 学会等名: Immunology of Diabetes Society, 15th International Congress 2017
  • 発表場所: Hyatt Regency, San Francisco, CA
  • 年月日: 2017-01-20 – 2017-01-20
  • 国際学会
• [学会発表] １型糖尿病のインスリン必要量・投与パターンに及ぼす内因性インスリンの影響 (2016)
  • 著者名/発表者名: 庭野史丸、廣峰義久、能宗伸輔、馬場谷成、伊藤裕進、武友保憲、貫戸幸星、安武紗良、川畑由美子、池上博司
  • 学会等名: 第16回日本先進糖尿病治療研究会
  • 発表場所: ワークピア横浜（横浜市）
  • 年月日: 2016-11-26 – 2016-11-26
• [学会発表] ニボルマブ投与後に劇症１型糖尿病を発症した悪性黒色腫の１例 (2016)
  • 著者名/発表者名: 武友保憲、能宗伸輔、馬場谷成、廣峰義久、 伊藤裕進、石川一志、藤原作平、波多野豊、川畑由美子、池上博司
  • 学会等名: 第53回日本糖尿病学会近畿地方会
  • 発表場所: 大阪国際会議場（大阪市）
  • 年月日: 2016-11-12 – 2016-11-12
• [学会発表] Devices for improvement of long-term prognosis after pancreatectomy (2016)
  • 著者名/発表者名: Ikegami H
  • 学会等名: Joint Conference of the International Association of Pancreatology, the Japan Pancreas Society and the Asian Oceanic Pancreatic Association, 2016 in Sendai
  • 発表場所: Sendai International Center, Sendai, Japan
  • 年月日: 2016-08-06 – 2016-08-06
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] １型糖尿病が濃厚集積した1家系：HLAとの関連の検討 (2016)
  • 著者名/発表者名: 伊奈雄二郎、平田由紀、田中和子、市野功、関口直孝、真弓武仁、川畑由美子、池上博司、井口登與志
  • 学会等名: 第59回日本糖尿病学会年次学術集会
  • 発表場所: 国立京都国際会館（京都市）
  • 年月日: 2016-05-20 – 2016-05-20
• [学会発表] 日本人１型糖尿病の包括的データベースの構築と臨床研究への展開（TIDE-J）（第4報） (2016)
  • 著者名/発表者名: 梶尾裕、中條大輔、安田和基、霜田雅之、春日雅人、今川彰久、池上博司、大澤春彦、阿比留教生、島田朗、長澤幹、金重勝博、及川洋一、安田尚史、粟田卓也、川﨑英二、高橋和眞、小林哲郎、花房俊昭
  • 学会等名: 第59回日本糖尿病学会年次学術集会
  • 発表場所: 国立京都国際会館（京都市）
  • 年月日: 2016-05-20 – 2016-05-20
• [学会発表] シンポジウム３. １型糖尿病の成因と治療「1型糖尿病の遺伝因子：濃厚集積家系の解析 」 (2016)
  • 著者名/発表者名: 池上博司、 能宗伸輔、川畑由美子
  • 学会等名: 第59回日本糖尿病学会年次学術集会
  • 発表場所: 国立京都国際会館（京都市）
  • 年月日: 2016-05-19 – 2016-05-19
• [学会発表] シンポジウム3. １型糖尿病の成因と治療：GAD抗体測定法の変更における問題点と対策＞ 「１型糖尿病における抗GAD抗体測定法間の相関に関する検討（TIDE-J別報） (2016)
  • 著者名/発表者名: 中條大輔、安田和基、今川彰久、池上博司、大澤春彦、阿比留教生、島田朗、長澤幹、金重勝博、及川洋一、安田尚史、粟田卓也、川﨑英二、高橋和眞、小林哲郎、霜田雅之、春日雅人、花房俊昭、梶尾裕
  • 学会等名: 第59回日本糖尿病学会年次学術集会
  • 発表場所: 国立京都国際会館（京都市）
  • 年月日: 2016-05-19 – 2016-05-19
• [学会発表] 全エクソーム解析を用いた１型糖尿病濃厚発症家系における原因遺伝子変異の検索 (2016)
  • 著者名/発表者名: 川畑由美子、能宗伸輔、馬場谷成、廣峰義久、細道一善、前川聡、池上博司
  • 学会等名: 第89回日本内分泌学会学術総会
  • 発表場所: 国立京都国際会館（京都市）
  • 年月日: 2016-04-22 – 2016-04-22
• [学会発表] 自己免疫性1型糖尿病のβ細胞機能廃絶に関わる臨床指標と遺伝因子の解明 (2016)
  • 著者名/発表者名: 武友保憲、能宗伸輔、馬場谷成、廣峰義久、伊藤裕進、貫戸幸星、吉田左和、庭野史丸、川畑由美子、池上博
  • 学会等名: 第113回日本内科学会総会・講演会
  • 発表場所: 東京国際フォーラム（千代田区）
  • 年月日: 2016-04-17 – 2016-04-17
• [図書] 糖尿病 最新の治療 2016-2018 (2016)
  • 著者名/発表者名: 廣峰義久、池上博司
  • 総ページ数: 5
  • 出版者: 南江堂
• [図書] 新時代の臨床糖尿病学（上）よりよい血糖管理をめざして (2016)
  • 著者名/発表者名: 廣峰義久、池上博司
  • 総ページ数: 5
  • 出版者: 日本臨床
• [図書] 内分泌代謝専門医ガイドブック[改訂第４版] (2016)
  • 著者名/発表者名: 川畑由美子、池上博司
  • 総ページ数: 6
  • 出版者: 診断と治療社