研究課題
[目的] DNAメチル化は、発生や生体の恒常性維持に必須である。DNAメチル化/脱メチル化が、生体代謝に関与する遺伝子発現や細胞の機能をどのように制御しているのかを解析する上で、インスリンという明確な機能マーカーを有している膵β細胞はモデルとして有用である。本研究では、申請者らが開発・導入したレポーターマウスを駆使して、膵β細胞における以下の項目について、DNAメチル化による遺伝子発現制御と生体代謝調節メカニズムをゲノムワイドに解析することにより、エピゲノムと細胞機能との関係の統合的な理解への到達を目標とする。[方法] 本研究計画では、以下の各課題を明らかにすることにより、DNAメチル化によるβ細胞の恒常性形成・維持機構と、その破綻による病態形成・生理変動メカニズムを明らかにする。1)膵β細胞株において、DNAメチル化が遺伝子発現に関連している領域の同定2)膵β細胞の最終分化過程の機能的β細胞の形成における、DNAメチル化の意義の解析3)糖尿病の膵β細胞障害における、DNAメチル化による遺伝子発現の制御機構の解明[結果] 平成26年度は、膵β細胞株INS-1の通常株と糖毒性モデル株について、methylation specific PCR、bisulfite sequencingによりDNAメチル化を、qRT-PCRによりmRNA発現を解析し、膵β細胞において遺伝子発現がDNAメチル化の影響を受けていると考えられる部位を同定した。この遺伝子ならびにその発現制御領域は、糖尿病におけるβ細胞障害メカニズムにも関連していると考えられた。この結果については、現在専門誌に論文として投稿し、revise中である。
3: やや遅れている
平成26年10月の所属研究期間の変更に伴い、周囲環境への適応ならびに各実験系の再構築が必要となったため。
平成27年度以降は、まず膵β細胞株INS-1の通常株と糖毒性モデル株を用いて、ゲノムワイドにDNAメチル化とmRNA発現を解析し、さらに高解像度な解析を加え、膵β細胞において遺伝子発現がDNAメチル化の影響を受けていると考えられる“ホットスポット”を同定する。さらに、申請者らが開発した、膵β細胞に蛍光蛋白質を発現するレポーターマウスから分離した純粋β細胞集団を対象にして、最終分化過程や糖尿病におけるβ細胞障害過程について、同定されたホットスポットや既知の機能分子にフォーカスして、DNAメチル化とmRNA発現、インスリン分泌能の変動を解析することにより、DNAメチル化によるβ細胞の恒常性形成・維持機構と、その破綻による病態形成・生理変動メカニズムを明らかにする。
平成26年10月の所属研究期間の変更に伴い、周囲環境への適応ならびに各実験系の再構築が必要となり、実験の実施が遅れたため。
当初の平成26年度の実験計画は、平成27年度に施行予定である。従って、消耗品費と研究成果発表に使用する予定である。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (8件) 備考 (1件)
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