研究課題
核内受容体PPARγに結合する転写共役因子PDIP1(PPARγ-DNA-binding domain interacting protein1)に会合する蛋白として私達が同定したTHRAP3 (thyroid hormone receptor-associating protein 150 kDa)が、precursor mRNAの選択的スプライシングに関与するか否か検討する目的でPPAR応答領域を有するCD44選択的スプライシングミニ遺伝子を構築し、HeLa細胞を用いて選択的スプライシングミニ遺伝子アッセイを行った。その結果、THRAP3はリガンド存在下でPPARγ依存性のexon inclusionを有意に増加させることが判明した。またPDIP1はリン酸化修飾を受ける事が他のグループより報告されているが、チロシン脱リン酸化酵素阻害剤の存在下で、PDIP1と共沈する蛋白として新たにSFPQ (splicing factor proline-glutamine rich)を同定した。SFPQは、遺伝子転写、precursor mRNA スプライシングやDNA修復に関与することが報告されている多機能な分子である。本研究において、分化誘導前の3T3-L1細胞においてsiRNAを導入してSFPQ遺伝子をノックダウンすると、分化誘導を行っても成熟白色脂肪細胞への終末分化が起こらないことを見出した。私達は以前にTHRAP3ノックダウンによっても同様の現象が起こる事を報告しているが、これらの蛋白が脂肪細胞分化過程において脂肪細胞分化に重要な役割を果たす遺伝子の転写のみならず、選択的スプライシングを調節して白色脂肪細胞分化を制御する可能性が示唆された。
3: やや遅れている
本研究計画調書に記載した平成26年度研究計画におけるマウス脂肪組織や肝臓におけるPDIP1の概日周期に関する解析およびエキソンアレイ解析が遂行できなかった。
マウス脂肪組織や肝臓におけるPDIP1の概日周期変化に関するインビボ解析を行う。また白色脂肪細胞や肝臓においてTHRAP3やPSFによって選択的スプライシングが調節される標的遺伝子についてエクソンアレイを用いて網羅的に解析を行う。更にPDIP1ノックアウトマウスにおいて、前述の方法で同定した遺伝子群に関して該日時計調節機構と選択的スプライシングの異常がないか詳細な解析を行い、PDIP1ノックアウトマウスにおける糖、脂質代謝異常がこれらの異常によって説明可能か検討する。
種々の理由により、研究エフォートを年度を通じて達成できなかったため。
平成26年度の実績を踏まえ、平成26年度分次年度使用額と平成27年度配分額を併せて、平成26年度に実践できなかったインビボ解析とエキソンアレイ解析を含めて、平成27年度研究計画を実行する。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (8件)
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