概日時計リズムと選択的スプライシング異常によるメタボリック症候群発症病態の解明

2016 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 26461353
• 研究機関: 群馬大学
• 研究代表者: 佐藤 哲郎 群馬大学, 医学部附属病院, 講師 (40302484)
• 研究期間 (年度): 2014-04-01 – 2017-03-31
• キーワード: HELZ2 / THRAP3 / SFPQ / adipocyte / alternative splicing / Dengue virus / Interferon

研究実績の概要

近年私達は脂肪細胞分化のマスター制御因子である核内受容体PPARγ (peroxisome proliferator-activated receptorγ)に結合する新規転写共役因子HELZ2 (helicase with zinc finger 2, transcriptional coactivator)を同定し、HELZ2ノックアウトマウスが高脂肪食誘導性肥満や脂肪肝形成に対して抵抗性を示すことを報告した。また免疫沈降法/TOFMS解析を用いてHELZ2に会合する蛋白として、THRAP3 (thyroid hormone receptor associating protein 3)およびSFPQ (splicing factor poly-glutamine rich) を同定した。近年他のグループからこれらの蛋白が転写調節のみならず、precursor mRNAの選択的スプライシングにも関与するとの報告が集積している。実際に私達が3T3-L1細胞においてTHRAPをノックダウンすると、成熟脂肪細胞への分化が抑制され、エキソンアレイ解析において脂質代謝に関連する遺伝子の選択的スプライシングが変化していることを見出した。更に同細胞においてSFPQをノックダウンすると、分化早期の転写因子発現に加え、転写因子の選択的スプライシングパターンに変化を及ぼすことにより脂肪細胞分化を抑制する可能性が示唆された。また海外研究室との共同研究により、デング熱ウイルス感染時に宿主のinterferon αに反応してHELZ2の発現が増強し、デング熱ウイルス増殖を抑制することが判明した。以上のように従来からの継続的な研究助成によって、HELZ2および、その関連蛋白が白色脂肪細胞の分化に重要な働きを示すこと、ならびにウイルス感染時の宿主免疫反応にも関与することが初めて明らかとなった。

研究成果

• [国際共同研究] Massachusetts General Hospital/Harvard Medical School/Beth Israel Deaconess Medical Center(米国)
  • 国名: 米国
  • 外国機関名: Massachusetts General Hospital/Harvard Medical School/Beth Israel Deaconess Medical Center
  • 他の機関数: 1
• [国際共同研究] Athens University Medical School(ギリシャ)
  • 国名: ギリシャ
  • 外国機関名: Athens University Medical School
• [雑誌論文] Fibroblast growth factor 21, assisted by elevated glucose, activates paraventricular nucleus NUCB2/Nesfatin-1 neurons to produce satiety under fed states. (2017)
  • 著者名/発表者名: Santoso P, Nakata M, Shiizaki K, Boyang Z, Parmila K, Otgon-Uul Z, Hashimoto K, Satoh T, Mori M, Kuro-O M, Yada T
  • 雑誌名: Sci Rep 巻: 印刷中 ページ: －
  • DOI: 10.1038/srep45819
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] HELZ2 Is an IFN Effector Mediating Suppression of Dengue Virus. (2017)
  • 著者名/発表者名: Fusco DN, Pratt H, Kandilas S, Cheon SS, Lin W, Cronkite DA, Basavappa M, Jeffrey KL, Anselmo A, Sadreyev R, Yapp C, Shi X, O'Sullivan JF, Gerszten RE, Tomaru T, Yoshino S, Satoh T, Chung RT
  • 雑誌名: Front Microbiol 巻: 8 ページ: －
  • DOI: 10.3389/fmicb.2017.00240. eCollection 2017
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [雑誌論文] Characteristics of Japanese aldosterone-producing adenomas with KCNJ5 mutations. (2017)
  • 著者名/発表者名: Okamura T, Nakajima Y, Katano-Toki A, Horiguchi K, Matsumoto S, Yoshino S, Yamada E, Tomaru T, Ishii S, Saito T, Ozawa A, Shibusawa N, Satoh T, Okada S, Nagaoka R, Takada D, Horiguchi J, Oyama T, Yamada M
  • 雑誌名: Endocr J 巻: 64 ページ: 39-47
  • DOI: 10.1507/endocrj.EJ16-0243
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Nivolumab-induced hypophysitis in a patient with advanced malignant melanoma. (2016)
  • 著者名/発表者名: Okano Y, Satoh T, Horiguchi K, Toyoda M, Osaki A, Matsumoto S, Tomaru T, Nakajima Y, Ishii S, Ozawa A, Shibusawa N, Shimada T, Higuchi T, Chikamatsu K, Yamada M
  • 雑誌名: Endocr J 巻: 63 ページ: 905-912
  • DOI: 10.1507/endocrj.EJ16-0161
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] 2016 Guidelines for the management of thyroid storm from The Japan Thyroid Association and Japan Endocrine Society (First edition) (2016)
  • 著者名/発表者名: Satoh T, Isozaki O, Suzuki A, Wakino S, Iburi T, Tsuboi K, Kanamoto N, Otani H, Furukawa Y, Teramukai S, Akamizu T
  • 雑誌名: Endocr J 巻: 63 ページ: 1025-1064
  • DOI: 10.1507/endocrj.EJ16-0336
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] APPL1 promotes glucose uptake in response to mechanical stretch via the PKCζ-non-muscle myosin IIa pathway in C2C12 myotubes. (2016)
  • 著者名/発表者名: Saito T, Okada S, Shimoda Y, Tagaya Y, Osaki A, Yamada E, Shibusawa R, Nakajima Y, Ozawa A, Satoh T, Mori M, Yamada M
  • 雑誌名: Cell Signal 巻: 28 ページ: 1694-1702
  • DOI: 10.1016/j.cellsig.2016.07.010
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Treatment and management of thyroid storm: analysis of the nationwide surveys: The taskforce committee of the Japan Thyroid Association and Japan Endocrine Society for the establishment of diagnostic criteria and nationwide surveys for thyroid storm. (2016)
  • 著者名/発表者名: Isozaki O, Satoh T, Wakino S, Suzuki A, Iburi T, Tsuboi K, Kanamoto N, Otani H, Furukawa Y, Teramukai S, Akamizu T
  • 雑誌名: Clin Endocrinol (Oxf). 巻: 84 ページ: 912-918
  • DOI: 10.1111/cen.12949
  • 査読あり / オープンアクセス
• [学会発表] 転写共役因子HELZ2によるレプチン受容体遺伝子発現制御機構の解析 (2016)
  • 著者名/発表者名: 吉野 聡, 佐藤 哲郎, 登丸 琢也, 土岐 明子, 堀口 和彦, 松本 俊一, 中島 康代, 石井 角保, 小澤 厚志, 渋沢 信行, 森 昌朋, 山田 正信
  • 学会等名: 第37回日本肥満学会
  • 発表場所: 東京ファッションタウンビル(東京）
  • 年月日: 2016-10-07 – 2016-10-08
• [学会発表] レプチン受容体アイソフォームの組織特異的選択的スプライシング機構の解析 (2016)
  • 著者名/発表者名: 登丸 琢也, 佐藤 哲郎, 錦戸 彩加, 高見澤 哲也, 吉野 聡, 岡村 孝志, 渡邊 琢也, 堀口 和彦, 松本 俊一, 石井 角保, 小澤 厚志, 渋沢 信行, 岡田 秀一, 森 昌朋, 山田 正信
  • 学会等名: 第37回日本肥満学会
  • 発表場所: 東京ファッションタウンビル(東京）
  • 年月日: 2016-10-07 – 2016-10-08
• [学会発表] PPARγの新規転写共役因子HELZ2の非アルコール性脂肪性肝疾患における役割 (2016)
  • 著者名/発表者名: 佐藤哲郎 , 吉野 聡, 田原 博貴, 佐藤 賢, 登丸 琢也, 錦戸 彩加, 高見澤 哲也, 渡邊 琢也, 岡村 孝志, 土岐 明子, 堀口 和彦, 松本 俊一, 中島 康代, 石井 角保, 小澤 厚志, 渋沢 信行, 岡田 秀一, 森 昌朋, 山田 正信
  • 学会等名: 第37回日本肥満学会
  • 発表場所: 東京ファッションタウンビル(東京）
  • 年月日: 2016-10-07 – 2016-10-08
• [学会発表] RNAスプライシング因子SFPQの新たな白色脂肪分化における役割 (2016)
  • 著者名/発表者名: 土岐明子, 佐藤 哲郎, 登丸 琢也, 吉野 聡, 錦戸 彩加, 高見澤 哲也, 渡邊 琢也, 岡村 孝志, 松本 俊一, 堀口 和彦, 中島 康代, 石井 角保, 小澤 厚志, 渋沢 信行, 岡田 秀一, 山田 正信
  • 学会等名: 第37回日本肥満学会
  • 発表場所: 東京ファッションタウンビル(東京）
  • 年月日: 2016-10-07 – 2016-10-08
• [学会発表] PPARγの新たな転写共役因子HELZ2の肥満症における役割 (2016)
  • 著者名/発表者名: 佐藤 哲郎, 吉野 聡, 田原 博貴, 佐藤 賢, 登丸 琢也, 錦戸 彩加, 高見澤 哲也, 渡邊 琢也, 岡村 孝志, 土岐 明子, 堀口 和彦, 松本 俊一, 中島 康代, 石井 角保, 小澤 厚志, 渋沢 信行, 岡田 秀一, 森 昌朋, 山田 正信
  • 学会等名: 第59回日本糖尿病学会年次学術集会
  • 発表場所: 国立京都国際会館（京都）
  • 年月日: 2016-05-19 – 2016-05-21
• [学会発表] アディポサイエンスの展開 PPARγの新たな転写共役因子HELZ2の肥満症における役割 (2016)
  • 著者名/発表者名: 佐藤 哲郎, 佐藤 賢, 山田 正信
  • 学会等名: 第89回日本内分泌学会学術総会
  • 発表場所: 国立京都国際会館（京都）
  • 年月日: 2016-04-21 – 2016-04-23
  • 招待講演
• [学会発表] RNAスプライシング因子SFPQの新たな白色脂肪細胞における役割 (2016)
  • 著者名/発表者名: 土岐 明子, 佐藤 哲郎, 登丸 琢也, 吉野 聡, 錦戸 彩加, 高見澤 哲也, 渡邊 琢也, 岡本 隆志, 松本 俊一, 堀口 和彦, 中島 康代, 石井 角保, 小澤 厚志, 渋沢 信行, 山田 正信
  • 学会等名: 第89回日本内分泌学会学術総会
  • 発表場所: 国立京都国際会館（京都）
  • 年月日: 2016-04-21 – 2016-04-23
• [学会発表] Helz2は脂肪細胞の分化促進因子である (2016)
  • 著者名/発表者名: 登丸 琢也, 佐藤 哲郎, 土岐 明子, 堀口 和彦, 松本 俊一, 中島 康代, 石井 角保, 小澤 厚志, 渋沢 信行, 山田 正信
  • 学会等名: 第89回日本内分泌学会学術総会
  • 発表場所: 国立京都国際会館（京都）
  • 年月日: 2016-04-21 – 2016-04-23