研究課題/領域番号 |
26461360
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
鈴木 仁弥 福井大学, 医学部附属病院, 講師 (20293417)
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研究分担者 |
弘瀬 雅教 岩手医科大学, 薬学部, 教授 (40273081)
高橋 貞夫 福井大学, 医学部, 特別研究員 (50303376)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 脂肪毒性 / ギャップジャンクション / 不整脈 |
研究実績の概要 |
【目的】糖尿病や肥満症に代表される生活習慣病患者の心筋細胞内には脂肪滴が蓄積し(脂肪心筋)、そこから放出される脂肪酸が脂肪毒性を発揮して機能障害をきたすと考えられている。我々は心筋特異的Perilipin2 (Plin2)過剰発現による“脂肪心筋”モデルマウスを作製し、心筋細胞内の脂肪蓄積が心機能に与える影響を解析してきた。その結果、このマウスは除脈傾向で心房細動(AF)が容易に誘発され、gap junction protein: connexin(Cx)の蛋白発現が変化していることを報告した。本年は心筋細胞におけるCxの局在性を組織学的に解析した。 【方法】月齢12-15ヶ月の野生型(Wt)マウスとPlin2過剰発現トランスジェニック(Tg)マウスを用いて、心房、心室のCxの蛋白発現をウエスタンブロット法にて、Cx、ANP、BNPのmRNA発現をRT-qPCR法で解析した。また心筋細胞間の刺激伝導に関与するCxの局在性を免疫組織化学法で解析した。 【結果】Cxの蛋白発現は、心房、心室ともにWtとTgマウス間で有意差を認めなかった。また、いずれのmRNA発現も心房、心室において両マウス間で有意差を認めなかった。 免疫組織化学的な解析の結果、Wtマウスでは心房、心室ともにCxはgap junctionに局在したが、Tgマウスではgap junctionでの発現が低下し、不均一であった。また、Tgマウスの心房、心室では心筋細胞の側壁にCxが局在する傾向が認められた。 【総括】心筋Plin2過剰発現による脂肪心筋マウスの不整脈易誘発性には、心筋細胞におけるCxの局在性の変化が関与している可能性があり、現在も詳細に解析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
“脂肪心筋”モデルマウスであるPlin2過剰発現トランスジェニック(Tg)マウスが心房細動を起こしやすいメカニズムをマイクロアレイ比較解析などで探索した結果、ギャップジャンクション蛋白の変化がその一因であることを発見した。現在この事象の確認とそのメカニズムを解析しており、申請時の達成目標に概ね合致している。
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今後の研究の推進方策 |
“脂肪心筋”が心房細動を誘発するメカニズムに関して詳細に解析する。具体的にはPlin2過剰発現トランスジェニック(Tg)マウス心筋に蓄積した脂肪的のどの成分がどんなシグナルを発してコネキシン分子の発言や細胞内局在性にどのような変化をもたらすのかを解明し、論文にまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費として計上した分を使用しなかったことと、消耗品費用が若干少なかったため、上記の額が余った。
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次年度使用額の使用計画 |
学会発表のための旅費と消耗品などの費用として使用する予定である。
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