研究課題
我々はこれまでにアディポカインvaspinを同定し、vaspinが脂肪細胞から血中へ分泌され、インスリン抵抗性や肥満・脂肪肝・動脈硬化を抑制することを明らかにした。本研究では肥満や糖尿病の病態におけるvaspinの腎臓への作用と機序について検討した。Vaspinトランスジェニック(Tg)およびノックアウト(Vaspin-/-)マウスを用いてストレプトゾトシン(STZ)で糖尿病を誘発し、腎病変を検討した。STZにより野生型マウスでは尿細管の菲薄化・尿細管腔の拡大が認められるが、Vaspin Tgマウスではこれらの変化が軽減しVaspin-/-マウスでは増強した。次にVaspin Tg, Vaspin-/-マウスを30週齢まで高脂肪高蔗糖(HFHS)食で飼育し腎臓について検討した。HFHS食で飼育したvaspin-/-マウスの近位尿細管に著しい空胞形成を認め、電顕および免疫染色でライソゾームの拡大と考えられた。Vaspi Tgマウスでは空胞形成の軽減を認めた。小胞体ストレス関連分子の発現がvaspin-/-マウスで亢進し、Vaspin Tgマウスで軽減した。培養近位尿細管(HK2)細胞を用いてtunicamycinを添加すると、小胞体ストレス誘導性アポトーシスが誘導されるが、vaspin蛋白添加によりアポトーシスが抑制された。STZ誘発糖尿病モデル、HFHS飼育マウスの腎臓のTUNEL染色においても、vaspin-/-マウスでは近位尿細管アポトーシスが増加し、 Vaspin Tgマウスでは抑制されていた。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (2件)
Diabetes
巻: 65(5) ページ: 1255-1267
10.2337/db15-1304
Sci Rep.
巻: 2016 ページ: 21721
10.1038/srep21721
Acta Med Okayama.
巻: 70(3) ページ: 151-8.