研究課題
ラット脳室傍核のオキシトシンニューロンに対し、脳スライスパッチクランプを行い、KATPチャネルの選択的阻害剤であるglibenclamdeの添加を行い活動電位の変化の測定を行った。その結果、ニューロンは添加から15分以上の時間経過を経て活性化することが確認された。このことはこれらのオキシトシンニューロンに対してKATPチャネルは直接的な作用よりも間接的な作用を行っていることが示唆された。つまり、室傍核のオキシトシンニューロンそのものではなく、それに投射する別のニューロンがKATPチャネルによって支配されており室傍核のオキシトシンニューロンは二次的にその支配下にあることが想定される。KATPチャネルは室傍核に存在していることは免疫染色より示唆されたが、室傍核に投射しているおおもとのニューロンが存在する弓状核にはさらに多くのKATPチャネルが発現していることも確認された。したがって、これらの室傍核に軸索を投射しているニューロンがKATPチャネルによってその活性が制御されており、その影響が室傍核のオキシトシンニューロンを支配している可能性が強く示唆された。そこで弓状核の単離ニューロンを作成し、パッチクランプ法でその活性を測定したところKATPチャネル阻害剤のtolbutamide添加によって強く活性化することが確認できた。またKATPチャネルの開口剤であるdiazoxideを脳室に投与したところ飲水量の変化がラットにおいて確認された。室傍核のニューロンには体の水分量を調整するバソプレッシンも存在しているため、KATPチャネルの脳における新たな作用が確認された。
2: おおむね順調に進展している
脳におけるKATPチャネルの生理的貢献度について明らかになってきており、現段階で順調に進展していると考えられる。
脳におけるKATPチャネルが摂食に対してい行っている貢献を調べるためKATPチャネル阻害剤ならびに活性化剤をラットの脳の局所に投与し摂食量ならびに運動量や飲水量の変化を測定し、脳のKATPチャネルによる脳さらには全身の代謝状況に与える影響を検討する。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件)
Brain Structure and Function
巻: ahead of print ページ: ahead of print
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