研究課題
RAGEは厳密に調節された細胞内情報伝達により切断(shedding)され、RAGEの炎症作用が修飾される可能性がある。我々はヒト血管内皮細胞を用いて、炎症シグナルとRAGE sheddingの関連を検討してきた。TNFαはRAGE sheddingを著明に誘導し、その作用はATF-4の発現及びADAM10の発現に依存していた。他の小胞体ストレスシグナルにかかわるXBP-1の関与は顕著でなかった。in vivoにおいて、内皮特異的ヒトRAGEトランスジェニックマウス(endo-RAGE Tg)においては、ヒトsoluble RAGE (sRAGE)を測定することによりRAGE sheddingを評価可能なモデルを確立した。endo-RAGE Tg/Tgマウスは血中sRAGEが測定可能であり、通常状態でRAGE shedding誘導されていた。Tg/TgマウスにTNFα阻害薬であるetanerceptを投与すると、血中sRAGEの軽度の低下が認められ、生体内においてもTNFαがRAGE sheddingに関与する可能性を示唆した。Tg/Tgマウスに低濃度のLPSを投与すると、血中TNFαは投与2時間後をピークに著明に誘導され、それに引き続いて投与10時間後をピークに血中sRAGEが約2.5倍に有意に上昇した。またTNFα自身の腹腔内投与10時間後においても、血中sRAGEは有意に約30%増加し、TNFαが直接in vivoにおいても血管内皮表面のRAGE sheddingを誘導することが明らかとなった。本研究課題の成果として、生体内においてTNFαがRAGE sheddingを誘導すること、その作用がATF4, ADAM10活性化を介することが明らかになり、糖尿病や代謝異常患者における血管炎症にRAGEがその基盤因子として働くことが明らかとなった。
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