研究課題/領域番号 |
26461379
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
須賀 英隆 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (20569818)
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研究分担者 |
長崎 弘 藤田保健衛生大学, 医学部, 准教授 (30420384)
大磯 ユタカ 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40203707)
有馬 寛 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50422770)
萩原 大輔 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (70710086)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 疾患特異的iPS細胞 |
研究実績の概要 |
家族性中枢性尿崩症モデルマウス(FNDIマウス)としては、実際にヒトの疾患で存在する変異と同じものを導入したCys98stopマウス(既に樹立済)を用いた。iPS細胞樹立の為の遺伝子導入ベクター(具体的には、エピゾーマルベクター、レトロウイルスベクター、センダイウイルスベクター)や、マウス由来細胞(リンパ球もしくは線維芽細胞)を実際に樹立作業に用いることで検討し、Cys98stop変異をもつマウスiPS細胞株を10株樹立した。染色体変異など、iPS化作業に伴う異常を生じていないことを確認した。今後、バゾプレシン(AVP)ニューロンへの分化能の善し悪しを、それぞれの株にて検討していく。 また、従来用いられてきたマウスES細胞からのAVP細胞分化培養法では、視床下部前駆細胞にて特異的に発現するRax遺伝子に蛍光蛋白をノックインした細胞を樹立してcell sortを行う必要があった。蛍光蛋白ノックインを行わなくともAVP細胞を誘導できる分化法が必要と考え、培養方法を改変した。その結果、表面抗原を利用するだけで視床下部前駆細胞濃度を上げる方法を確立した。これにより、マウスiPS細胞でも、Rax遺伝子にノックイン作業を行う必要がなくなるものと考えられる。 加えて、FNDIマウスへの薬剤投与による検討で、AVPニューロン保護作用を持つ可能性を示す候補を発見した。今後、マウスiPS細胞由来のAVPニューロンをモデルとして用いて、薬剤の効果発現機序を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、Cys98stopマウスから疾患特異的iPS細胞を樹立することを主目的としていた。未分化性や増殖能に問題がなく、また樹立作業に伴う染色体異常などを起こしていない株を多数樹立出来たことで、主目的は達成しているものと考える。また、今後の利用に際して、従来の分化法で抱えていた問題点を解決する改良方法を先回りして確立することにも成功した。以上から、おおむね順調に進展しているものと判断する。
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今後の研究の推進方策 |
樹立した疾患特異的iPS細胞を用いて、実際にAVP細胞へ分化誘導を行う。これまでのFNDIマウスの検討では1ヶ月齢から電子顕微鏡レベルで、2ヶ月齢からは光学顕微鏡レベルで、AVP細胞の小胞体内に封入体を形成することが観察されている。マウス疾患特異的iPS細胞から誘導したAVP細胞においても、まずこの特徴的な封入体が形成されることを確認することで、疾患モデルとして有意義であることを示す予定である。 その後、様々なストレスを与えることで、封入体の変化やAVP細胞そのものの生存率などの変化を検討していく。
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