研究課題
昨年度までの化合物クリーニングで得たHit化合物とは、カベルゴリンであった。カベルゴリンはドーパミンD2受容体アゴニストとして知られており、カベルゴリンの中間中胚葉細胞におけるHSD3B誘導作用は、D2受容体アンタゴニストにてブロックされず、また他のD2受容体アゴニストでは再現されなかった。そこで、用量依存曲線を確認したところ、カベルゴリンは高用量でのみ効果を発揮しており、D2アゴニストとして以外の作用が考えられた。カベルゴリンは弱いD1アゴニストとしての作用も持つため、D1受容体アンタゴニストを投与したところ、カベルゴリンのHSD3B誘導作用は抑制・消失した。また、他のD1受容体アゴニストでも同様のHSD3B誘導作用が再現された。このことから、ドーパミンD1受容体刺激がOsr-1陽性中間中胚葉細胞におけるHSD3Bの誘導に関与していることが示された。しかし、これらの細胞ではStARとHSD3B以外のステロイド合成酵素は発現されなかったため、次に、SF-1を導入したOsr-1陽性細胞にてD1アゴニストの効果を検討した。SF-1導入Osr-1陽性細胞においては、D1アゴニストの添加によりHSD3BのみならずStAR, CYP11A1, CYP21A2, CYP11B1, CYP11B2, CYP17など種々のステロイド合成酵素の発現が増大し、コルチゾール含むステロイドホルモンの分泌能が増加した。また、ドーパミンを産生する副腎髄質細胞セルラインとSF-1導入Osr-1陽性細胞を2チャンバーモデルで共培養したところ、共培養によりSF-1導入Osr-1陽性細胞のステロイド合成酵素発現は著明に増大し、このD1アゴニストを介した副腎髄質ー皮質連関が中間中胚葉からの副腎皮質発生・分化に重要な働きをしている可能性が示された。
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